日本の機械に関する設計製作や運転作動の現場ではトラブルが絶えず,品質問題が大きくクローズアップされている。本コラムの著者である広島大学教授の沢俊行氏は「鑑定」という立場で,これまでに多くの事故原因を解明する現場に立ち会った。その経験を通じて,材料力学や機械工学の基礎さえ身につけていれば,悲惨な事故の多くは防げたとみている。事故を未然に防ぐためには,実態に即した材料力学を学ぶ必要があるのだ。実際の事故事例を交えながら材料力学の基礎を解説していく。

沢 俊行
広島大学大学院工学研究科機械システム工学専攻教授,兼産学連携センターセンター長
1948年東京生まれ。1976年3月,東京工業大学大学院機械物理工学専攻博士課程修了。工学博士。主に,ボルト締結や接着構造の応力解析などの研究に従事。フランジやねじ込み継手のISO規格委員会の委員長など,多数の委員会委員を歴任。主な著書に『再入門・材料力学 基礎編』 『同応用編』 『同実践編』 『実用・材料力学』(日経BP社)がある。