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ケーススタディー(1)自動車内の電磁環境をモデル化

大山 眞次=デンソー
2009/05/13 00:00
出典:日経エレクトロニクス「NEプラス」、2007年12月31日号 、pp.P32-P35 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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自動車は,EMCに関して最も厳しい環境といわれている。複雑な電磁環境の中で安全性を確保するため,デンソーは自動車内を3階層にモデル化し,設計初期段階からEMCに取り組んでいる。電磁雑音発生の抑制と伝播系での減衰という方針で検討を積み重ね,要所でレビューを行う。レビューでは若手の実力アップも図る。車両/部品メーカーにまたがる,EMCに関する開発プロセスも解説する。

 自動車の電子化は急速に進み,高度な機能を電子技術で実現するようになっている。それに伴い,電磁環境を設計段階で考慮することが重要になってきた。自動車全体や開発の全工程にわたって,EMC(electro-magnetic compatibility)に関して見通した体系の中で仕事をしていく必要がある。いわば“EMC設計フレームワーク”というような仕組みが不可欠になったのである。

 その仕組みは,設計技術やEMC対策,組織的な開発プロセス/コミュニケーションといった,製品化に必要な技術や体制を包含したものである。これらが現場の実態に即して的確に整理されたものであれば,自動車に求められるニーズの変化にも柔軟に対応できるようになる。

 ここでは,カー・ナビゲーション・システム(カーナビ)の設計現場の経験を基に,自動車部品メーカーの立場から,車載機器のEMCに対する考え方や設計の手順の一部を紹介する。

カーナビの高機能化に伴い電磁放射強度が増大

 まず,カーナビの高機能化と高速化について解説する。文字通り,カーナビの原点はナビゲーションにあるが,その後DSRC(dedicated short range communications )や放送,モバイル・ネットワークなどの通信手段を通じて,車外とつながった。今や,単なる道案内の道具ではなく,各種プロバイダーを経由して,さまざまなコンテンツをやりとりできる,双方向のコミュニケーション装置へと発展した。ドライバーに安全・安心といった優しさや,利便・快適といったうれしさを与えるために,人と機械(この場合は車)を結び付けるHMI(human machine interface)センターへと変貌している(図1)。

図1 カー・マルチメディアの世界カーナビは,「道案内」の装置から,ドライバーに「優しさ(安全・安心)」や「うれしさ(利便・快適)」を提供する「HMIセンター」へと変貌した。
[画像のクリックで拡大表示]

 今後カーナビのマルチメディア化はさらに進化し,先に述べた「安全・安心」「利便・快適」という2軸のバランスを保ちながら,機能を拡大していく(図2)。そこでEMC 関連技術は,ますます重要になってくる。例えば,カーナビが車両内の各機器と連携して衝突防止の支援をするようになれば,カーナビ自体にセンサとして高い信頼性が要求され,そこではイミュニティ(電磁雑音に対する耐性)が課題になる。また,車内外のネットワークが広がるに伴い,外部の機器との間で相互に干渉を与えないようにする EMC技術が一層,重要になっていく。音声認識や駐車アシストなどカーナビ自身の高機能化や,オーディオ・ビジュアルなどエンターテインメント機能の一体化により,エミッション(電磁雑音の放出)の配慮は避けて通れない課題である。

図2 カーナビのマルチメディア化
図2 カーナビのマルチメディア化
「優しさ(安全・安心)」や「うれしさ(利便・快適)」のバランスを取りつつ,機能を拡大。EMCが重要課題に。

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