システムの特徴や仕様に応じて,使用するマイコンは変わってきます。ここでは,システムを大まかに制御系と信号処理系に分けて,マイコン選定に際して考慮する一般的な項目を挙げていきます。今回は,制御系システムで使用するマイコンの仕様検討について解説します。(連載の目次はこちら

 マイコンは,そのシステムを動かす頭脳の役割を担っています。また,システムに求められる機能や性能を満たすように,さまざまな周辺機能も用意しています(図2)。従って,システムの特徴や仕様に応じて,使用するマイコンは変わってきます。ここでは制御系システムにおいて,マイコン選定に際して考慮する一般的な項目を挙げます。

図2 マイコンのブロック図
図2 マイコンのブロック図
このほかにも電源電圧検出回路や特定用途のブロックなどがある。

 制御系システムとして,例えば家電製品の電子ポットがあります。温度センサや水位センサ,電熱ヒーターを巧みに操って,お湯を沸かして保温します。また電子ポットの利用者がボタンを押すと,ポンプを作動させて給湯します。つまり電子ポットは,マイコンが温度センサや水位センサと連携して,ヒーターやポンプといった電子部品を制御しているのです。

 このような用途に使用する制御系マイコンを選択するときは,CPU(central processing unit)の性能や動作周波数,および周辺機能を考慮するのが一般的です(図3)。

図3  制御系システム向けマイコンの選択指針の例
図3 制御系システム向けマイコンの選択指針の例
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 以下に,これらの周辺機能を備えたマイコンを選択する際の基準と注意事項について述べます。

[CPU]
オーバースペックに注意する

 一般に制御用途のマイコンには,搭載されている周辺機能を十分にコントロールできる程度のCPUが採用されているはずです。ただし,選択するときは,演算ビット数は,マイコンが扱う周辺機能のデータ長(例えばA-D変換器やタイマのビット数)と整合が取れていることを確認しておきましょう。

 また,マイコンを選定する際には,製品に要求される応答性(リアルタイム性)を十分に確保できる動作周波数のCPUが搭載されていることも確認します。ただし,動作周波数が高くなると消費電力が大きくなる上,不要輻射の抑制対策に余分なコストが発生する可能性が高くなります。オーバースペックにならないように,要求されている性能とのバランスを取ることが大切です。