半導体を作ることは「設計」,「製造」,「検査(テスト)」の三つに分類されます。ここでは主に「製造」と「検査(テスト)」について記述しますが,「設計」についても簡単に触れておきます。設計といっても,切り口によっていろいろな分け方がありますが,ここでは,(1)機能設計,(2)論理設計,(3)レイアウト設計,(4)プロセス・デバイス設計の四つに分類して説明します。

(1)機能設計

 半導体には,多くの種類がありますので,機能設計といっても具体的な設計方法が一様ではありません。メモリーでも「記憶する」だけでも,「ワード×ビット構成」が異なりますし,「システム・メモリー」という言葉があるように,多様な機能を持ったメモリーが存在します。

 ロジックLSI(ASIC,マイクロプロセサ,マイクロコントローラ(MCU),システムLSI)は,それ自体がシステムの一部を担っているので,機能設計はさらに複雑になります。システムLSIの場合,システム設計仕様に基づく機能設計以降の各種設計ステップにおいて,さまざまなEDA(electronic design automation)ツールを利用した自動設計が行われています。複雑・多様な機能を持つ高性能LSIを人手だけで設計するのは,事実上不可能です。

 このような自動設計のうち,トップダウン設計と呼ばれる手法では,C言語などによって表現されたシステム仕様から,機能合成ツールによって機能合成が行われます。その結果,RT(register transfer)レベルの記述と,ハードウェア記述言語(HDL)で表現されたデータが作られ,次の論理設計のベースになります。なお,機能設計の場合,合成した機能(動作)そのものの検証や,シミュレーションによる機能検証も含まれます。