IWではUTDに記載された試験項目,計測方法などに沿って認証試験を行います。そして,決められた試験方法に準じて各計測器メーカーが「MOI (methodology of implementation)」と呼ぶ計測向けの機材や計測条件などを明記した実施方法を作り,SATA-IOがこれを承認する方式を採用しています。製品の開発者は試作品を持ち寄り,MOIに沿って試験を実施します。試験時間は2時間と,IWを開催する以前の1時間と比較すると長い時間が割り当てられています。IWで認証試験に合格した製品は,SATA-IOが公開する製品リストに記載され,試験に合格していない製品と区別されます。

 UTDに記載された試験項目は,主にプロトコルの試験である「Digital(Protocol)」,電気的仕様に関する試験である「Electrical(PHY)」,コネクタ位置や形状に関する機械的試験である「Mechanical」,標準製品との接続や動作確認を試験する「System Interoperability」の四つに大別できます。試験項目の割合から見ると,Electricalに関する項目が多く,2004年に大きな刷新が行われたのもこの部分です。

規格の進化や応用の広がりを先回り

UTDは,2007年3月発行の「Serial ATA Interoperability Program Revision 1.1 Unified Test Document Version 1.0」が最新版です。試験の項目は,改訂されるごとに追加が行われています。また,Serial ATAの応用分野の広がりに合わせた拡張も行われています。 UTDでは,Serial ATAの仕様を,世代と応用の違いに応じて6種類に分類しています。各仕様は,例えば「Gen1i」といった具合に表現します。「Gen1」の部分が世代を表し,ビット・レートが1.5Gビット/秒の「Gen1」と同3Gビット/秒の「Gen2」があります。世代の違いは,試験項目や合否基準の違いにつながります。

 「i」の部分が応用に対応し,配線の形状で異なります。パソコン内部での接続に使うケーブル長が1m以内の「i」,デスクトップ・パソコンの外部接続用でケーブル長が2m以内の「m」,データ・センターのバックプレーンで使うケーブル長が2m以上の「x」に分類されます。外付けHDDで用いられている派生規格のeSATAは,Gen1mの規格に準じます。それぞれ試験項目や合否基準が違います。

†eSATA(external SATA)=従来USB 2.0やIEEE1394で,接続していたHDDをより高速のSATA規格の信号で接続しようとするための規格です。頻繁に挿抜を行うことを前提としているために,eSATAのコネクタは,内部接続用の一般的なSATAコネクタと比べて堅牢に作られており,物理的な互換性はありません。

 なお,既にデータ・レートを6Gビット/秒に高めたGen3の仕様が,2008年中に発行されることになっています。そしてリンク層の試験に向けたプロトコル・アナライザなどでは,既に対応計測器が登場しています。