中国でディスプレー用の光学フィルムに積極投資している「康得新」(北京康得新複合材料有限公司、Beijing Kangde Xin Composite Material:KDX)。製品分野は明らかにしていないが、中国の大手テレビメーカーである康佳(KONKA)向けで60%、長虹(Changhong)向けで70%、創維(Skyworth)向けで50%、TCL向けで50%のシェアを持つという。その康得新が、3次元(3D)ディスプレー分野に力を入れ始めた。同社 董事長の鐘玉氏に戦略を聞いた。(聞き手は、田中直樹=日経エレクトロニクス)

――なぜ光学フィルムメーカーが、3次元(3D)ディスプレーに積極的に取り組んでいるのですか。

左が康得新 董事長の鐘玉氏。(中央はドイツのAngela Merkel首相、右は中華人民共和国の李克強首相)
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 狙いの1つは、新規事業によって、会社をさらに発展させることです。単なる材料メーカーのままでは、いずれ技術が成熟したときに、価格競争に飲み込まれてしまいます。そこで、材料供給にとどまらず、他の部品やソフトウエアと組み合わせ「モジュール」として顧客に提供する事業を考えています。ソリューション事業とも言えます。

 具体的には、3D用の光学フィルムを生産、それを我々がTFT基板に貼り付けます。さらに、3D映像の再生ソフトウエアをセットにして、顧客に提供することを考えています。システムインテグレーションやシステムソリューションと呼ばれる業態に乗り出すわけです。

 3Dディスプレーに着目したのは、もともと3Dディスプレー用の光学フィルムを開発していたことと、専用眼鏡が不要な裸眼3Dの技術が整ってきたことが理由です。