液晶パネル用ガラス基板事業への、中国メーカーの参入が相次いでいる。その代表例が東旭集団(Tunghsu Group)だ。液晶パネルだけでなく、その部材の供給体制も中国に整いつつある。東旭集団 副総裁の王建強氏に、同社の液晶用ガラス基板事業の現状と、今後の発展戦略について聞いた。(聞き手は、田中直樹=日経エレクトロニクス)

――液晶用ガラス基板事業への参入の経緯を教えてください。

東旭集団 副総裁の王建強氏
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 当社は1997年の設立で、初めはブラウン管(CRT)用ガラス工場の生産設備を手掛けていました。当時、中国には6社のブラウン管用ガラス工場がありました。そのうち半分は、当社から生産設備を調達していました。

 その後、ディスプレー産業の中心がブラウン管からTFT液晶パネルへ移ることが見えてきます。この変化に対応するために、我々も2005年から、TFT液晶分野への参入に向けて準備を始めました。そして2009年、我々にとって最初の液晶用ガラス基板工場が稼働しました。

――液晶用ガラス基板事業は、大手4社による寡占状況が長く続いており、参入障壁が高いと言われています。当時を振り返ってみて、参入できたポイントは何だと考えていますか。

 第1は、人材確保です。2005年以降、国内外の専門技術者の採用に力を入れてきました。第2は、ブラウン管用ガラス事業のノウハウを生かせたことです。ブラウン管と液晶パネルでは、形は大きく違いますが、ガラスの製造原理においては多くの共通点があります。第3は、国のサポートです。政府が国として、この産業を育成しようとしていました。これが追い風になり、国の支援を得ることができました。

――2014年の液晶用ガラス事業の成果は。

 第1は、生産能力の拡大です。これまで中国数箇所に投資してきた工場を、2014年順次稼働させることができました。第2は、技術力の向上です。ガラス基板の薄型化が可能になり、0.7mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmというさまざまな厚さのガラス基板を生産できるようになりました。第3は、カラーフィルターの共同生産について、大日本印刷との間で技術提携に合意したことです。