トヨタテクニカルディベロップメント 代表取締役副社長 宮田博司氏
トヨタテクニカルディベロップメント 代表取締役副社長 宮田博司氏
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 トヨタ自動車を中心とするトヨタグループの中で、量産車開発から知財調査、計測システム開発にまで深く関わっているトヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)。同社で技術開発体制を統括しているのが、代表取締役副社長の宮田博司氏である。

 宮田氏はかつて、トヨタ自動車において電気・電子系を担当する常務役員を務め、電子技術開発の最前線を見渡してきた。次世代自動車開発における同氏の眼力は鋭いだけでなく、開発の担い手である技術者が備えるべき能力を的確に指摘する。TTDCでは同氏の考えが開発体制にも生かされている。

 宮田氏が技術者の能力向上を図る上で注目しているのが、電気・電子系技術者試験制度「E 検定 ~電気・電子系技術検定試験~」である(日経テクノロジーオンライン関連記事1日経テクノロジーオンライン関連記事2)。E検定を主催する「電気・電子系技術者育成協議会」のメンバーにもTTDCは名を連ねる。宮田氏に電気・電子系技術の担い手に対する期待などを聞いた。(聞き手は、大久保 聡)

――自動車における電気・電子系技術の重要度は高まっている。さらに携わる技術者には広い知識が求められると聞く。

宮田氏 自動車は、安心・安全を担保するだけでなく、信頼性も高くなければならない製品だ。自動車関連の開発に携わることで、技術者は技術力やノウハウなどをしっかりと身につけることができる。

 だが、自分自身が担当している技術領域だけに強くなる傾向がある。担当外の技術領域になると、必ずしも「強い」とはいえないのが実情だ。ましてや、新しい技術領域になるとなおさらである。今後、市場で求められる自動車を考えると、開発に必要な技術領域は広がっていく。だからこそ、技術者には多様な技術領域での知識習得が求められる。