――しかし、国によって医師の対応が違うのでは?

カデュー氏 基本的に我々は、詳細なデータが医師の施す治療に役立つという考えに立っています。世界の国々では、まだ多くの人々が手書きの頭痛ダイアリーを使用していますが、記入漏れがあると症状の証明が難しいため、結果的に投薬指示も同じようなものになりがちです。たとえ頭痛がひどくても「強い薬を与えることができない」という判断になってしまうのです。

 ただし頭痛ダイアリーの記入を忘れることはあっても、スマートフォンは常に携帯しているので患者が記入を忘れることはありません。しかもグラフや痛みのある箇所のイラストなどで可視化できますから、どのような症状かが医師にもすぐに伝わります。

頭痛ろぐのイメージ。カラフルで見やすい表示を心がけた
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 日本や米国でさえ、頭痛の専門医に診てもらう平均回数は年に2~3回程度と言われています。その間に良質なデータが集まらないと、次回の問診時に的確な治療方法や投薬指示を与えることができません。ちなみに日本では頭痛ろぐの開発に関して、4名の頭痛の専門家、精神神経科医に協力をお願いしています。

 さらに医療体制が十分に行き渡っていない国々への対処も考慮しなくてはいけません。例えばインドで展開する際には、弊社では技術のノウハウを提供し、製薬会社が医師をサポートしながら患者にリーチするようにしていきます。なぜならそもそも医師の数が少なく、専門医の数はさらに少なくなるからです。こうした国ではほとんどの患者が専門医ではなく、一般医に診断してもらうことになります。ですから、一般医をサポートする機能をカスタマイズする必要が出てきます。これは中国などでも同じでしょう。