――ミナケアの事業コンセプトには、ヘルスケアを「コスト」から「投資」へ、といった言葉が掲げられています。これからの医療に対する考え方を聞かせてください。

 病気の診断や治療の前段階の健康を守り、維持していきましょうというのが、21世紀の医療の大きな命題であり、我々が目指すところです。これまでの医療は、病気の診断や治療がメインでした。21世紀の医療はそうでなくて、いかに健康を守り、維持するかを主軸に据えていくべきです。

 それは、医療の役割、スタート地点を変えるということです。これまでのように、病気になったら医療がスタートするのではなくて、病気になる前からやりましょうということです。それが「投資」という言葉につながってきます。

 「病気になったらいらっしゃい、全力で治療をします」「全力で治療しないと訴えられるかもしれない」――という病院の姿勢は、ある意味、社会のニーズと乖離してきています。「そんなことになるのだったら、もっと早く言ってほしかった」とか、極端な話、「もう死にたいのに死ねないんだ」という患者側の発言は後を絶ちません。

 これは、国民皆保険制度といった“良い制度”ができてしまったが故に、医療従事者自身が、医療の正当性や、なぜ今の時代に医療が必要かといった説明責任を果たせてこなかったことにも原因があります。その結果、なぜ医療費を費やして医療を支えなきゃいけないのか、やるべきなのかが、皆分からなくなってしまっているのが現状です。この現状を変えていかなければなりません。