IT、自動車、新エネルギー事業の分野において名を馳せている中国BYD社(比亜迪)だが、同社の半導体事業部門(深セン市にある比亜迪微電子有限公司)は、すでに数年にわたりタッチパネル事業に力を注いでいる。「技術を切り札、革新を基本に」の理念を堅持して、2013年は順調に事業を展開してきた。(聞き手は、田中 直樹=日経エレクトロニクス)

楊雲氏
比亜迪微電子有限公司 組込み式製品センタ製品ディレクターの楊雲氏

――タッチパネル用コントローラーICにおける優位性は。

 主に以下の5点に表れている。

1. 幅広い事業をカバー

 当社のタッチパネル用コントローラーICは、スマートフォン、タブレットPCの市場において大規模な生産・出荷が行われているだけでなく、ノートパソコン、スマート家電、自動車などの分野もカバーしている。スマート家電市場では現在、すでに幅広く使用され、顧客の多くが一流ブランドである。つまり、現在の市場シェアおよびブランド影響力から見ると、当社は家電市場においてすでにトップの地位を確立していると言える。

 ノートパソコン分野においては、当社は中国国内で初めてWindows 7/8のドライブ認証に合格したICメーカーである。当社のチップは主に中国国内の一流ノートパソコンメーカーに出荷され、タッチパッド(PCBに基づく)およびスクリーン(OGSタッチパネル)に使用されている。

 自動車分野においては、ロットでの車載試作段階に入っている。2014年以降、車載マルチメディアおよび計器パネルなどへの応用が最大の成長ポイントとなると見込んでいる。自動車事業は品質要求が高く、認証にかかる時間も長いが、当社は早くから車載アプリケーション市場に参入していたため、今後の大規模な普及・応用という点で極めて有利な状況にある。

2. 業界内で最も充実した製品ラインアップ

 当社は、タッチパネル用コントローラー技術分野における8年もの研究開発と事業展開を経て、現在、業界内で最も充実した製品ラインアップを有している。3.5型から14型までの静電容量型タッチパネルの各種方式および新技術への対応が可能である。その中には、1点認識+ジェスチャー、2点認識+ジェスチャー、多点認識(最大10点)、といった異なる機能およびランクのチップも含まれている。

 このうち、すでに大規模な生産が行われているのは、主にガラスセンサーを用いたG/Gタッチパネル、フィルムセンサーを用いたG/Fタッチパネル、極薄フィルムセンサーを用いたG/F/FタッチパネルおよびOGSタッチパネルである。研究開発が間もなく完了するのは、オンセルやインセルといった新しい方式である。また、大型サイズのタッチパネルMetal meshに特化して技術開発を行っている次世代のタッチパネルコントローラICについても研究開発段階に入っている。