中国メーカーが、薄型・軽量化や表示の視認性向上につながる新世代タッチパネル技術の量産に乗り出した。先行した日本メーカーや台湾メーカーを猛追する。中国大手タッチパネルメーカーの1社であるJiangxi Holitech Technology社(江西合力泰科技有限公司)は、カバーガラスにタッチセンサーを形成するOGS(one glass solution)方式タッチパネルの量産を開始した。ガラスやフィルムを減らせるため、薄型・軽量化や視認性向上を実現できる技術である。同社Director, Vice President, Secretary of the Board(董事 副総裁 董事会秘書)のPaul Jin(金波)氏に、タッチパネル事業の現状と今後の戦略について聞いた。(聞き手は、田中 直樹=日経エレクトロニクス)

中国Jiangxi Holitech Technology社(江西合力泰科技有限公司) Director, Vice President, Secretary of the Board(董事 副総裁 董事会秘書) Paul Jin(金波)氏
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――2013年の成果は。

 最大の成果は、カバーガラスにタッチセンサーを形成するOGS(one glass solution)方式のタッチパネルを製品化したことです。OGS方式のタッチパネルとTFT液晶モジュールを貼り付けて一体化したものを製品化し、出荷できました。

 2番目は、3次元(3D)ディスプレイ用のメガネに使うパネルの売り上げが前年(2012年)の約3倍に増えたことです。シャッターグラス方式の3Dメガネに使うもので、タッチパネルで培った貼り合わせ技術が生きています。それまでの生産量は月産100万セットでしたが、2013年は月産300万セットに増えました。今年(2014年)は、モバイル機器の裸眼3Dディスプレイ向けの技術を開発し、量産化する計画です。

 3番目は、日本メーカーとの間で、ウエアラブル機器向けの曲面ディスプレイの供給に向けた話し合いを進められたことです。我々は、日本の大手電機メーカーのOEM工場に、タッチパネルモジュールを供給している実績を持っています。

――2014年の事業目標は。

 大きな目標が二つあります。一つは、OGS方式タッチパネルとTFT液晶モジュールの貼り合わせ製品の出荷量を、4000万枚まで増やしたい。もう一つは、液晶パネルのカラーフィルター基板にタッチセンサーを形成する、オンセル方式のタッチパネルを製品化したいと考えています。

 タッチパネル産業の成長率はとても高い。昨年(2013年)の当社の利益は、前年比50%増でした。今年(2014年)の目標も前年比50%増です。来年(2015年)以降の3年間も、前年比40%増を続けることを狙っています。