──今回、ソニーとエムスリー、米Illumina社の3社で、ゲノム(全遺伝情報)のプラットフォーム事業を手掛ける新会社を設立することを決めました。

斎藤氏
さいとう ただし
1953年生まれ。1976年、ソニー入社。総合企画室、経営戦略本部 経営戦略部門などを経て、2001年4月にエレクトロニクスHQ エレクトロニクスCFO。2004年6月、業務執行役員 コーポレート戦略担当。半導体事業グループ 副本部長やコンポーネント経営企画部門長などを経て、2008年6月に業務執行役員 EVP。2012年4月から執行役 EVP。2013年1月から現職。
(写真:加藤 康)


 ソニーは今後、遺伝情報に基づく医療に本気で取り組んでいきます。今回の3社のうちIllumina社は先端ゲノム解析(シーケンサー)技術で業界トップの企業。高度なシーケンサー技術に加え、ゲノム解析にかかわる豊富な知見を備えています。エムスリーは20万人の医師が利用する、日本最大級の医師向けポータルサイトを運営しています。


 この新会社では、ゲノムのデータに基づいて、個人に合わせた医療を実現する仕組み作りに参画します。これはいわば社会インフラを構築する事業であり、5~10年単位の時間を要します。3社だけで進めることはできず、厚生労働省や経済産業省など国の主導も必要でしょう。ただし我々としては国の作業を待つだけではなく、その時々のルールに沿って事業を進めていく考えです。


 ヒトゲノムが解読されたのは比較的最近であり、新しいパラダイムといえます。遺伝情報に基づく医療の実現はまさに医療のパラダイムシフトと位置付けられるわけです。