ハードウエアなどを含むシステム全体を記述するための図式言語「SysML」。2006年のOMG(Object Management Group)での策定から約8年が経過し、ようやく日本でも開発現場で利用する動きが出てきた。

 SysMLはUML(Unified Modeling Language)をベースにして策定された。システム全体を記述しやすいよう、UMLから「オブジェクト図」や「コンポジット構造図」などソフトの構造に関連する6種類の図式を省くなどし、代わりにシステムの要求を記述するための「要求図(リクワイアメント図)」、数式などを記述するための「パラメトリック図」の2種類を追加した。

 SysMLなどのモデルを用いた開発アプローチ「モデルベース・システムズエンジニアリング(MBSE:Model Based Systems Engineering)」の動向に詳しいシステムビューロ代表の内田功志氏と、SysMLツールを手掛けるチェンジビジョン代表取締役社長の平鍋健児氏に、SysMLの動向を聞いた。

(聞き手は進藤 智則=日経コンピュータ


—— SysMLはOMGでの策定から8年が経過したが、国内ではなかなか普及しているように見えない。どのような状況にあると見ているか。

システムビューロの内田氏(写真右)とチェンジビジョンの平鍋氏(写真左)
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内田氏 導入を促進するために、情報処理推進機構(IPA)ソフトウェア高信頼化センター(SEC)の「統合システムモデリング技術ワーキンググループ」が中心となってMBSEの「導入の手引き」を作成し、2013年8月に公開した。

 普及の速度が緩やかなのは確かだが、日本でも少しずつSysMLの導入評価を始めた企業が出てきている。自動車、鉄道、スマートグリッドなどのスマートシステム、防衛といった分野だ。複数のシステム同士が連携する「System of Systems」が対象になる。