携帯電話機最大手のフィンランドNokia Corp.が,ナノテク/MEMS(micro electro mechanical systems)関連の研究を進める研究所を2007年に開設した。そのトップのTapani Ryhanen氏に将来の携帯電話機やコンピューティングの姿を聞いた。そこで求められるのは,既存の技術の延長上にない“破壊的技術”とする。(聞き手は、三宅 常之=Tech-On!編集)

2007年に開設した研究所でMEMS(microelectro mechanical systems)やナノテクの研究開発を熱心に進めていると聞いています。

Tapani Ryhänen 氏
1992年にフィンランドHelsinki University of Technologyで電気工学の博士号取得。1996年までフィンランドVaisala Technologies Inc.でMEMSによる圧力センサーや角速度センサーの開発を担当。1996年にNokiaへ移り,MEMS関連の研究開発に従事。2007年1月より現職。(写真:柳生 貴也)

 われわれは,ナノテクのモバイル分野への応用に関する研究を2002~2003年に始めました。そして2004年に,ナノテク研究に関する明確な戦略とビジョンを策定しました。2007年初めにナノテク研究のための研究所を新たに立ち上げました。2007年から本格的にナノテク研究を開始したことになります。この研究所には,大きく二つのチームがあり,それぞれ大学と共同で研究しています。共同研究している大学は,フィンランドHelsinki University of Technologyと英University of Cambridgeです。

研究テーマは具体的には何でしょうか。

 詳細をお話しすることはできませんが,大きく分けて,エネルギー,無線通信,コンピューティング,センサー,機械的な構造について研究しています。これらは,将来のモバイル分野に大きなインパクトがあると2004年の時点で判断したものです。既存技術の延長や改良ではない破壊的(disruptive)技術の実用化を狙っています。