宮田喜一郎
UPを装着しているJorgen Nordin氏

 Bluetoothヘッドセットやワイヤレス・スピーカーなどで知られる米Jawbone社は、睡眠や運動などを記録できる健康管理用リストバンド「UP(アップ)」を2013年4月20日に発売する(関連記事)。この製品の狙いやコンセプト、実現技術などについて、同社 Head of Channel & Partner DevelopmentのJorgen Nordin氏に聞いた。

(聞き手は小谷 卓也)


――UPの開発の狙いは。

 世界中の多くの人は、より健康な自分を求めている。しかし、良くなりたいという思いと、実際の行動にはギャップがある。忙しい日常の中で、何らかの行動を起こすことは容易ではないからだ。だからこそ、簡単なものでなければならない。そして、日常に溶け込んでいなければならない。そこでたどり着いたのが、リストバンドという形態だ。

 健康であるためには、何かをしなければならないのではなく、まずは自分を知ることが大事だ。睡眠や活動、食事といった自分の日常の状態がどのようなものなのかを把握する。UPはそのためのツールである。

――UPの設計コンセプトは。

宮田喜一郎
4色を用意

 まずは、デザイン性だ。もし何の機能が搭載されていなかったとしても、純粋にリストバンドとして装着してみたいと思わせるようなデザインにした。我々は、この製品を「機能性を備えた宝石」と考えている。さまざまな外装色を用意したのも、そのためだ。

 そして、常時身に着けられるように、電池寿命や防水機能にもこだわった。内蔵する2次電池で1回の充電で10日間動作する。充電やスマートフォンとの同期時以外は、常に装着できるように、シャワーやプール、雨の中でも使える防水機能を備えた。

――開発で苦労した点は。

 UPは24時間、常時身に着ける使い方を想定している。そのため、さまざま環境条件に耐えられるようにすることが、最大のポイントだった。

 例えば、防水性能に関しては、24時間ずっと装着していれば、単に水道水だけではなく、さまざまな不純物にさらされる環境を想定しなければならない。その場合、既存の防水規格に適合させるだけでは不十分だ。我々は、既存の防水規格の要素を取り込みながら、より厳しい新たな基準を設定した。

 そして、その基準に適合させるための試験を実施する装置も新たに開発した。UPの開発に当たっては、製造方法だけで100以上の特許を取得したほどだ。

――スマートフォンとの連携にBluetoothなどの無線技術を利用しなかった理由は。

宮田喜一郎
キャップを取り外すと現れるへッドフォン・ジャックを利用してスマートフォンとの連携や充電を行う

 電池寿命だ。24時間常時身に着けるためには、1回の充電で長時間の動作が不可欠だ。Bluetoothなどの無線技術は、その点ではまだ成熟していないと考えている。さらに、誰でも使える分かりやすさも考え、ヘッドフォン・ジャック(3.5mmプラグ)を利用してスマートフォンと連携させるようにした。