中国・深セン地域で生産が盛んなタッチ・パネルの関連企業に聞くインタビューの3回目。今回は、香港企業のTruly International Holdings社(信利国際有限公司)を紹介する。同社は、中小型液晶パネル、カバー・ガラス一体型の静電容量式タッチ・パネル、抵抗膜式タッチ・パネル、小型カメラ・モジュールなどを主力製品として、“スマートディスプレイ”事業を展開している。第2回で紹介した中国Tianma Micro-electronics Group社(天馬微電子集団)はインセル技術の研究開発に注力しているが、Trulyグループの方針は全く異なる。Truly Opto-electronics社にタッチ・パネル事業の戦略を聞いた。(聞き手は、田中 直樹=日経エレクトロニクス)

Truly Opto-electronics社(信利光電有限公司) Seven Zhou氏(Touch Panel Division, Touch Panel R&D Dept.2, Product Technical Senior Manager)、Ben Chen氏(Product Director)
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――タッチ・パネル事業の現在の状況は。

 我々は早くから抵抗膜式タッチ・パネルに力を入れていて、2008年の生産量は世界第4位でした。2009年には静電容量式タッチ・パネルに注力するようになり、2012年の生産量は中国大陸で第2位です。

――カバー・ガラス一体型(OGS)やインセルといった新技術への取り組みは。

 カバー・ガラス一体型(OGS)に注力しています。2012年第3四半期に生産を開始しました。今後の主力製品にしていく方針です。現在は、生産量全体の30%がカバー・ガラス一体型(OGS)で、残りの70%が外付け型(60%がITOフィルム方式、10%がITOガラス方式)です。早ければ2013年、遅くても2014年には、カバー・ガラス一体型(OGS)の生産比率を50%に引き上げたいと考えています。

――カバー・ガラス一体型(OGS)には、個片化前にガラスの化学強化処理をしておくシート方式と、個片化後に化学強化処理をするセル方式があります。どちらを採用していますか。

 シート方式はタブレット端末向けなど、セル方式はスマートフォン向けなどに、それぞれ採用しています。2012年秋に、まず生産効率の高いシート方式での生産に取り組みました。ただ、シート方式では実現が難しいことがいくつかあり、現在は二つの方式を使い分けています。

 シート方式で実現が難しいこととは、まず強度の向上です。また、枠の色が現在は黒に限定されます。個片化前のシートのような広い面積の化学強化ガラス上に印刷できるインクが、現在は黒色しかないためです。さらに、穴明け加工が難しい、薄型化が難しい、表面を曲面にすることが難しい、という課題があります。特にスマートフォン向けでは、枠を白色にしたい、微細な穴明け加工をしたい、薄型化したい、表面を曲面にしたいというニーズが強く、これらに応える必要がありました。