中国・深セン地域で生産が盛んなタッチ・パネルの関連企業に聞くインタビューの2回目。今回は、深センなどに工場を持つ代表的な液晶パネル・メーカーであり、5月23~25日に深センで開催される「Touch China 2013(第6回深セン国際タッチパネル技術展)」(主催:中国通信工業協会、中瑞会展、日経BP社)の出展者の一つである「中国Tianma Micro-electronics Group社(天馬微電子集団)」を紹介する。同社はモバイル機器向けに中小型TFT液晶パネルを生産しており、最近は有機ELパネルの開発も積極的に進めている。今回の展示会には、安定性の高い静電容量式タッチ・パネルを重点的に展示する。モバイル機器のディスプレイまわりで不可欠になってきたタッチ・パネルについては、どう取り組むのか。同社に考え方を聞いた。(聞き手は、田中 直樹=日経エレクトロニクス)

中国Tianma Micro-electronics Group社(天馬微電子集団) Jimmy Lu氏(Greater China Industrial, GCI1, Sales Manager)
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――天馬微電子集団のタッチ・パネルへの取り組みについて教えてください。

 二つの事業領域があります。一つは、民生用途です。携帯機器などの用途に向けて、液晶パネルにタッチ入力機能を組み込む、インセル技術の研究開発に注力しています。開発の中心拠点は上海です。アモイにも拠点を持っています。もう一つの事業領域は、専門用途です。車載機器、産業機器、医療・介護機器、教育機器などの用途を対象にしています。拠点は深センで、ITOガラスを2枚使う従来の「G+G」方式の静電容量方式タッチ・パネルを生産しています。

――民生用途では、なぜインセルに注力することにしたのですか。また、インセルの量産化時期は。

 量産化の計画など詳細については言えませんが、低温多結晶Si(LTPS)技術を使って、液晶パネルの高精細化に対応し、さらにタッチ入力機能を組み込んでいくのは、液晶パネル業界全体のトレンドです。インセルは、携帯機器のディスプレイまわりを薄く、軽く、安価にできる技術です。今後、インセルは本格的に実用化が進み、普及していくでしょう。われわれも、1~2年前から研究開発に力を入れています。液晶パネルだけではなく有機ELパネルにも、インセルが使われるようになるでしょう。歩留まりの課題は、短期間で解決するのは難しいと思いますが、必ず解決できると見ています。