今回は、本気でビジネスをするために日本を訪れた

Sibal氏 ソフトウエア関連で多くのグローバル企業がインドに研究開発の拠点を設けています。米Intel社は、最新のLSIをインドで設計している。3週間前に米国カリフォルニアを訪れたのですが、訪問したすべてのグローバル企業にはインド人の経営幹部がいました。これは、インドをソフトウエア関連の課題解決の場ととらえているからです。

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 現在、エレクトロニクスやソフトウエア関連のグローバル企業は、インドのバンガロールで特許など多くの知的財産を生み出しています。インドのソフトウエア技術は世界でもトップクラス。我々が次にやらなければならないのは、インドで作られた知的財産をインドのために用いるという変革です。インドの企業が知的財産をつくり、それを保有するようになれば国の競争力が高まる。インド国内での半導体生産は、そのために重要な役割を果たします。

 今回の来日でSibal氏は、NTTドコモや日立製作所、NEC、京セラなどを訪問し、経営トップと会談したという。例えば日立は、2012年12月にインドでのグループ戦略を発表した。2015年度のインドでの連結売上高を2011年度の3倍に当たる3000億円に高め、従業員をほぼ2倍の1万3000人に増やす目標を掲げている。2012~2015年度にインドで700億円を投じる計画だ。インドでの研究開発センターの拡充や、地産地消型事業の強化などを進めていく。
 インドのDepartment of Electronics and Information Technology(DEITY、電子情報技術局)は、産業分野でのインドとの協力について日本の経産省と共同作業部会を設置し、3カ月以内に報告書をまとめる計画だ。DEITY内には、エレクトロニクスやIT関連の協力について日本と対話する専門の担当者を設けたという。「今回は、本気でビジネスをするために日本を訪れた」と、Sibal氏は話す。

Sibal氏 うれしいことに日本企業は我々の期待を実現しようと考えています。今回の来日で日立の川村隆会長に会いました。同社は昨年、海外で初めて経営会議を開いたそうです。その場所はインドでした。そして、大きな投資を含むインドでの事業戦略を発表しました。

 日本メーカーは、強力なハードウエア開発力を有しています。インドには、強力なソフトウエア開発力がある。中国は今後、ハードウエアの製造力をソフトウエア開発へとシフトしていくでしょう。インドは、逆にソフトウエアからハードウエアへと進んでいきます。

 中国の製造業と競争していくためにも、日本は重要なパートナーだと考えています。日本が持っている高品質なハードウエア技術が必要です。日本メーカにとっても、グローバル競争を勝ち抜くためにはインドでの投資が大切になるでしょう。半導体から機器、ソフトウエアまでを一貫してインドで生産することで、コストを下げられる。それにより、インドの消費者が手に入れやすい価格の製品を提供できるようになります。インド国内だけではなく、アフリカや中東にもアクセスしやすくなるでしょう。

■変更履歴
掲載当初、Sibal通信情報技術相の出身地「パンジャール州」とあったのは「パンジャブ州」、「電子情報技術省」とあったのは「電子情報技術局」の誤りでした。お詫びして訂正します。記事は修正済みです。[2013/2/26 20:00]