Q.中国に進出している日系企業にとって、人件費の高騰は頭の痛い問題です。

 瀋陽市の人件費は、同じ遼寧省にある大連に比べても安いと言えます。もちろん北京や上海に比べれば、かなり低い金額で優秀な人材が雇えます。それには理由があります。人件費はその都市の生活コストに比例して高くなりますが、瀋陽は生活コストの中で大きなウェートを占める住宅費と食費が安いのです。具体的に申し上げれば、大連に較べると住宅費は半額、野菜などの値段は大連の7割にとどまっています。こうした生活に関連するコストが低いからこそ、人件費の高騰が抑制されているのです。

 また、労働力市場の充実も一因と言えるでしょう。瀋陽地区には大学が40以上もあり、毎年大学から輩出される卒業生は11万人に達します。(重点大学である)東北大学はIT(情報技術)を得意分野としており、そのほか航空や製薬などを強みとして大学があります。

 瀋陽は伝統的に製造業が盛んで、市場経済からの影響が少ないのです。つまり一度メーカーに就職した従業員は企業に対する忠誠度が高く、あまり頻繁に転職したりしません。