――中国の製造業界の状況は。

 中国にも課題があります。日本や欧米が工業化を達成したのに対して、中国の工業化は立ち後れています。我々は日本の力を借りたい。日本企業には是非、中国に進出していただきたいと思っています。日本はサプライチェーンの上流に位置する部品や素材の企業が多く、こうした企業との交流を特に深めていきたいです。

 我々は、中国と日本の企業の交流を促したいと考えています。中国は政治が安定しており、しかも巨大なマーケットがあります。13億人の人口があり、購買力は非常に高い。リーマン・ショック以降、世界経済は低迷していますが、それでも中国のGDP成長率は他の地域に比べて高いといえます。日本企業にとって、大いにチャンスがあります。是非中国に来ていただいて、交流していきたい。経済に関しては、交流を通して、共に課題を解決していければ良いと思います。

 中国と日本の関係は「一衣帯水」(編集部注:両者の間には狭い隔たりがあるだけで、非常に近い関係にあること)といえます。近い関係なので、何かあったらすぐに、互いに影響があります。

――日本と中国の間には政治的に難しい問題がありますが、経済の交流は推進していきたいということですね。

 民間としては、友好的に交流していきたい。このような時期だからこそ、中国と日本の交流を促すべきだと思います。アジア製造業協会は2012年11月11~12日に中国・北京で、交流促進を目的としたイベント「第6回アジア製造業フォーラム年次総会」を開催します。経済については様々な形で中国と日本が交流できると良いと思います。

 交流は対立より、はるかに重要です。交流によって、リーマン・ショック以降の経済停滞から早く抜け出す。そして、技術革新を加速させる。中国と日本はパートナーとして、互いの製造業界の発展に向けて一緒に取り組んでいきたいと考えます。

――今年のアジア製造業フォーラムのテーマは。

 今年のテーマは、グローバル経済の再生と、製造業界の転換への挑戦です。世界経済の停滞が続く中で、この状況を変えるために何をどうすれば良いか。これまでの製造業界にも問題があるでしょう。フォーラムの参加者の皆さんと一緒に議論しながら、製造業界が進むべき方向を見いだしていきたいと思っています。

 また、歴史を振り返ると、経済が落ち込んでいるときは、技術のイノベーションが出てくる時期でもあることが分かります。フォーラムを通して、どの業界でいつごろ、どのようなイノベーションが生まれてくるか、推測していきたいと思います。