――過去5回のフォーラムでは、どのような成果がありましたか。

 大きく三つあります。いずれも、今後も続けていくことですが、これまでの5回の開催によって大きな成果があったと考えています。

 第1に、アジアの企業同士、そしてアジアと欧米の企業の交流促進です。工業化が既に達成されている欧米や日本、韓国と、これから工業化をどんどん進めていく中国や他の開発途上国では、製造業界の現状も課題も異なります。背景の異なる地域から多くの人が集まり、交流し、理解を深めてきたことは、大きな成果です。

 第2に、製造業界に対する注目度の向上です。経済全体の中で製造業界はとても重要です。開発途上国にとっても、先進国にとっても重要です。国・地域の経済の柱であり、雇用や税収をはじめ、経済・社会の根幹にかかわるからです。フォーラム開催によって製造業界に対する関心は高まったと自負していますが、それでもまだ低いと考えています。これからも、もっと製造業界に注目してもらえるように、フォーラムを続けていきたいと思っています。

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 第3に、製造業界や企業の課題解決に向けた調査・研究です。フォーラムでの議論を通して、各国・地域の製造業界や企業の課題を、ある程度把握できるようになりました。今後も、アジアの企業、世界の企業にはどんな課題があるのか、課題解決のためにどうしたらよいのかを、フォーラムを通して皆で議論していく考えです。

 世界は構造調整、経済低迷の局面が続いています。回復への道のりは険しく、そう簡単には好転しないと思います。だからこそ、フォーラムを通して交流を深めたり、製造業界への関心を呼び起こしたりすることが重要だと考えています。