泰州市は江蘇省の中部、長江の北岸に位置する地級市である。泰州市にある高港区は、革新港区、ハイテク産業園区、港臨経済開発区、現代農業産業園区の4つの開発区を抱える行政区である。長江を利用した海外との貿易で成長してきた。船舶産業のほか、輸出用の食用油や米、麦などの産業も活発だ。内装の壁紙や自動車部品、医療機器など、産業は多岐に渡る。今はまだ日系企業の進出は少ないが、今後は誘致にも力を入れていくという。そんな泰州の戦略を中共泰州市高港区委員会常委、泰州市高港区人民政府副区長の呉斌氏に聞いた。(聞き手は、中田靖=アジアビジネス本部)

高港区には特徴のある4つの開発区を抱える

泰州市はまだ日本には馴染みのない都市です。泰州市はどんな産業に力を入れているのですか。

中共泰州市高港区委員会常委、泰州市高港区人民政府副区長の呉斌氏
中共泰州市高港区委員会常委、泰州市高港区人民政府副区長の呉斌氏

 泰州市は江蘇省の中部、長江の北岸に位置する地級市です。高速鉄道がまだ開通していないので、上海までは車で約2時間、南京までは車で約1時間半かかります。

 泰州市高港区は革新港区、ハイテク産業園区、港臨経済開発区、現代農業産業園区の4つの開発区を抱える行政区です。

 中核となる革新港区は唯一、長江のそばにある開発区で、ここには1万トン以上の船舶が停泊できる港が8つあります。水の供給、ガスの供給、汚水処理などの設備はすべて備えています。

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 この開発区の重点産業は、装備産業、食品産業、新材料産業の3つです。2011年は泰州市の中で、GDP、税収などの経済指標は第2位でした。この開発区は長江のそばの港があるので、運送、設備産業のサポートは完璧です。中国の大手船舶会社である中高船舶と三福船舶の2社で年間150億元を売り上げています。

 また食品産業で有名な芸海料油の年間売り上げは100億元です。この会社が生産している「金龍油」は中国で人気のブランドです。現在は油だけですが、今後は米、麦の生産にも力を入れていく考えです。また芸海料油はタイの生態集団とも提携しており、豚や鳥の食品加工品も製造しています。これらの食品はいずれも開発区内にある港を利用して、輸出しているのです。

ハイテク産業園区には中国最大級の部品メーカーも進出

長江沿いの港を利用して、装備産業や食品産業の流通に力を入れているのですね。その他の開発区はどんな状況なのでしょう。

 2002年に設立されたハイテク産業園区は主に台湾系企業が多く進出している開発区です。ここでは内装関連、自動車部品、医療関連製品、食品が主な産業です。内装は主に住宅の壁紙を生産しており、その生産量は全国の36%のシェアを占めています。

 自動車部品で一番有名なのは中国最大級の自動車部品メーカーである万向集団です。そのほかドイツ系の自動車部品会社も進出しており、売り上げを伸ばしています。

 ここで製造している医療関連製品は、医療現場で使われる消耗品です。手術用の手袋や管などがここでの主力製品となっています。

 この開発区には台湾で最も有名な食品メーカーである統一集団が進出しています。中国で最も生産量が多いビールの雪花を製造する華潤雪花ビールの工場もここにあります。この開発区には港はないのですが、こうした食品は海外貿易ではなく、中国国内で流通させるため、もっぱら陸路を利用して運んでいます。

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