FPD材料事業でも、製造装置事業と同様に中国向けのビジネスが伸びている。台湾の材料メーカーのEternal Chemical社でPresidentを務めるT.F. Shiao(蕭慈飛)氏は、「最近の成長の牽引役は中国」と言い切る。既に売上高全体の60%を、中国での売り上げが占めるという。顧客サポートのために、中国に研究開発センターを相次いで立ち上げる計画だ。Shiao氏の目には、日本企業は中国市場に対して距離を置いているように映る。「日本企業は中国市場にもっと近づくべき。台湾企業と一緒に中国市場へ乗り出そう」と、Shiao氏は日本企業に呼びかける。

台湾Eternal Chemical社 PresidentのT.F. Shiao(蕭慈飛)氏
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――最近の成長の牽引役は。

 製品面ではプリント回路基板用、半導体用、液晶パネル用の新製品、そして市場面では中国です。2011年の売上高は13億5000万米ドルでした。2012年は14億5000万~15億米ドルの見込みです。売上高全体の60%を、中国での売り上げが占めます。従業員数は5000人で、約半数は中国で働いています。なお、5000人の従業員のうち40~50%が研究開発に従事しています。

 われわれは1964年に台湾の高雄で創業した化学材料メーカーです。最初は合成樹脂や特殊化学品を製造していましたが、1985年からプリント回路基板向けの電子材料、2000年から半導体や液晶パネル向けの化学材料、2004年からオプトエレクトロニクス(光電子)向けの化学材料に進出するなどして、ポートフォリオを広げてきました。液晶パネル用の化学材料としては、薬液や光学フィルムなどを扱っています。生産拠点は、台湾に3カ所、中国に15カ所、米国とタイに1カ所ずつ、合計20カ所があります。

――中国進出への取り組みについて教えてください。

 中国への進出は1993年から始めました。最初は上海とその周辺地域に進出し、次に南部の珠海や広州、さらに北部の天津や営口、そして内陸の成都などへ、という順に進出しました。中国では、生産だけでなく研究開発もしています。600人の研究者や開発技術者が従事しており、上海には研究開発センターを持っています。中国の顧客は、われわれの化学材料の正しい使い方を知らなかったり、使いこなせていなかったりすることがあります。このような顧客を支援するために、研究者や開発技術者の存在は欠かせません。中国の研究開発センターは、上海に続いて、この1~2年に天津や北京でも立ち上げる計画です。