中国向けのビジネスが急拡大しているFPD製造装置事業では、中国企業との協業によって競争力強化を図る動きが目に付くようになってきた。特にコストが重要視される後工程向けの製造・検査装置で、こうした動きが目立つ。研磨装置や洗浄装置、検査装置など、液晶パネルの後工程装置を手がける台湾Gallant Precision Machining(GPM)社でChairman&CEOを務めるNick Yeh(葉勝発)氏に、FPD製造・検査装置の事業戦略について聞いた。

台湾Gallant Precision Machining(GPM)社 Chairman&CEOのNick Yeh(葉勝発)氏
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――FPD製造装置事業の中国シフトが進んでいます。

 2011年のFPD向け装置事業は、売り上げの60%(台数ベース)が中国向けです。2010年は45%でした。今後は、ほとんどが中国大陸向けになるでしょう。2012年は中国向けの売上比率が65%に達すると見ています。なお、世界全体では、FPD製造・検査装置の市場規模は2009年から少しずつ落ちてきています。特に台湾は減少が顕著です。

――2011年の売り上げの実績と2012年の目標は。

 2010年に比べて、2011年の売り上げは台数ベースで20%成長しました。特に伸びたのが中国大陸向けです。GSMグループ全体の2011年の売上金額は112億円でした。2012年は5%成長の見込みです。出荷先のほとんどが中国大陸です。AU Optronics社(AUO)やChimei Innoluc社(CMO)といった台湾についても、ほとんどは中国大陸の工場向けです。

――現在、力を入れている取り組みは。

 第1はコストダウンです。1年で15%のコストダウンを目指しています。第2は装置の性能向上です。2012年は、装置のスループットを20%向上させることを目標にしています。第3は新技術開発です。高いシェアを持つ日本製装置を置き換えることが目標です。

 中国大陸と台湾の優位性を活用することによって、コストダウンと技術力向上を同時に実現し、市場シェアを高めていく考えです。コストダウンのために、中国大陸製の部品を積極的に使います。また、中国大陸の工場で装置を生産することによって、人件費も抑えます。中国大陸の政府の優遇策も適用していきます。技術力向上については、台湾の技術や人材を活用します。これにより、中国における事業運営面のパフォーマンスも上げられると考えています。