第12次五カ年計画では物聯網、EV、バイオを推進

第12次五カ年計画において重点を入れていくのはどのような産業になりますか。

 無錫市では第12次五カ年計画にしたがって8つの産業を重点に掲げていますが、錫山経済技術開発区ではそのうち、電子情報、EV、バイオ医薬の3つを重点産業に設定しました。

 電子情報の中でも重要なテーマが物聯網(ウーレンワン)です。これは温家宝首相が2009年8月に無錫の中国科学院無錫高新微納センサーネット工程研究センターを視察した際に提唱した「感知中国」(センサーを使ったネットワーク)構想がベースになっています。2009年11月に国務院が無錫市を中国物聯網実験都市の第1号として正式認定し、無錫で本格的に物聯網の研究がスタートすることになったのです。

 物聯網ではRFID(無線ICタグ)やセンサーを駆使して、世の中のあらゆるものをインターネットにつなぐことになります。これによってITS(高度道路交通システム)や物流システムの構築、送電網や水道網の管理など、様々な社会インフラが効率化できるようになります。スマートシティの実現に向けた革新的な産業となるわけです。

 2つ目のEVの分野では、電動バイクや小型電動自動車、電動バスなどに注力していきます。既に錫山経済技術開発区で生産している電動バイクは、中国全土の3分の1を占めています。小型電動自動車は、観光用の電動四輪車やゴルフ場の移動用電動自動車です。

 例えばこの分野では昨年、日本のMywayプラス社が開発区に進出し、R&Dセンターを設置しました。同社はモーターの制御システムの研究開発を行なっています。こうした進出は非常に歓迎します。

 3つめのバイオ医薬はもともと無錫市にその基礎があります。バイオ医薬の研究で有名な江南大学は開発区の中にあります。このため、人材も豊富です。

産業だけではない都市建設を目指す

無錫に高速鉄道が開通して上海へのアクセスもさらに便利になりました。今後はさらにどのような発展計画を考えていますか。

 新幹線の新駅ができたことで、その周辺に新しい都市を建設していく計画があります。現在、開発区では、V-PARK、S-PARK、EV PARK、それに科技創業園という4つのテーマパークを設けています。

 V-PARKはビジネスの中心、S-PARKは先進的な科学技術の中心、EV PARKはEV産業の中心、科技創業園は主に台湾企業を中心とした先進的な産業の中心という位置づけです。

 錫山経済技術開発区は設立から約20年が経過しています。産業を発展させるだけでなく、学校や病院、ホテルなどのインフラもさらに充実させることで、産業園区、商務区、住宅団地を組み合わせた、住みやすく、生活しやすく、仕事ができる、まさに都市としての開発区に育てていく方針です。