襄陽市は、自動車産業の売上高を、2011年の1300億元から、2015年には4000億元に引き上げる。この時点で、100万台の完成車、100万台のトランスミッション、200万本のシャフト、180万基のエンジンを生産していることを想定している。日産自動車と東風汽車の合弁会社である東風日産乗用車だけではなく、複数の完成車メーカーを誘致する。関連の部品・素材メーカーの集積も加速させる。襄陽市は中国で唯一、中央政府から「新エネルギー車の模範基地」と「新エネルギー車の生産基地」の両方に指定されており、ハイブリッド車や電気自動車などの普及と生産にも注力する。進出を決めた日系企業には、1社に1人ずつ、プログラム秘書を配置、政府に関連する許認可手続きや税務面の手続きは、すべて対応するという。 (聞き手は、山口健=日経BP中国社)

自動車産業を核に、発展させる計画をお持ちですね。

李述永氏
李述永氏
襄陽市委員会常務委員
襄陽国家高新技術産業園区書記

 襄陽市の自動車産業の売上高は、2011年に1300億元(1元=12.5円換算で1兆6250億円)でしたが、これを中国の第12次5カ年計画が終了する2015年には4000億元(5兆円)に引き上げたいと考えています。

 この時点で、100万台の完成車、100万台のトランスミッション、200万本のシャフト、180万基のエンジンを生産していることを想定しています。

 襄陽市は中国で唯一、中央政府から「新エネルギー車の模範基地」と「新エネルギー車の生産基地」の両方に指定されています。2015年までには、ハイブリッド車や電気自動車などの新エネルギー車の普及活動と生産を行っている予定です。

 これまでは日産自動車とその関連会社の進出が中心でした。これからは日産のグループに限らずに、もっと多くの企業が進出して来ることを期待しています。

 完成車メーカーの数を増やし、全体の製造能力を大きくして行きたいと考えています。2011年の完成車は53万6000台でした。これを100万台にして行く計画です。

単に自動車を組み立てるだけの時代ではなくなりました。

 われわれは量だけではなく、これからは質も重視します。乗用車だけではなく高級車へ、ガソリン車だけではなく新エネルギー車へという方向です。

 これまでは中国東風汽車とその合弁会社が中心でしたが、これからは別の完成車メーカーも誘致します。例えば北京の北汽福田汽車が進出してくることが決まっています。乗用車ばかりではなく、特殊車両や業務用車両も手がけて行きたい。また新エネルギー車に関しては、国内外の多くの完成車メーカーに声をかけているところです。

 今後は完成車の組み立てばかりではなく、部品産業をもう一つの柱に育てて行きます。最初はエンジン、シャフト、トランスミッションに注力しますが、次はボディー、内装、電子システムなどに力をいれて行きます。

 現在の襄陽市にある自動車関連の産業チェーンの弱点は、電子部品関連があまりないことです。電子部品やこれを実装した電子システムについても、ここで生産することによる規模のメリットを訴え、関連企業の進出を促したいと思っています。