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インタビュー

技術責任者に聞く、ジャパンディスプレイの強み

ジャパンディスプレイ 田窪米治氏、松島聡氏

田中 直樹=Tech-On!
2012/06/26 15:00
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東芝、日立製作所、ソニーの3社の中小型パネル事業を統合した新会社「ジャパンディスプレイ」が、2012年4月に事業を開始した。社長の大塚周一氏は、「ジャパンディスプレイの最大の強みは技術力」と言う(大塚社長のインタビュー記事)。同社が競争力の源泉とする技術の強みについて、技術と研究開発の責任者である田窪米治氏(執行役員 CTO 研究開発本部 ディビジョンマネージャー)と松島聡氏(研究開発本部 開発企画部 シニアゼネラルマネージャー)に聞いた。(聞き手は、田中 直樹=Tech-On!)

――大塚社長をはじめジャパンディスプレイの皆さんは「最大の強みは技術力」と言われます。しかし、競合他社も高い技術力を持っていると思います。なぜ、ジャパンディスプレイの技術力に優位性があると言えるのでしょうか。

ジャパンディスプレイの田窪米治氏(執行役員 CTO 研究開発本部 ディビジョンマネージャー)
[画像のクリックで拡大表示]

田窪 われわれの主力製品である中小型液晶パネルは、TFTアレイ、液晶セル、周辺システムの3要素から構成されますが、いずれも統合前の3社が世界最高レベルの技術力を持っていました。これらの要素技術を組み合わせることで、顧客に喜ばれる製品を作ることができます。これが、われわれの技術力の優位性です。具体的に、三つの要素技術について順に説明しましょう。

 TFTアレイについては、高精細スマートフォンのキー・テクノロジである低温多結晶Si(LTPS)技術で、東芝モバイルディスプレイが強い技術を持っていました。LTPS技術は、高精細化で課題となるパネル透過率の確保や、ドライバICなどの外付けチップのコスト削減に有効であり、高精細化が進む中小型パネルの分野ではとても重要な技術です。特にわれわれのLTPS技術は、TFTの安定性、設計技術、プロセス技術は、世界トップ・レベルだと自負しています。TFT特性のバラつきや経時変化が小さく安定しているため、駆動のための回路などをガラス基板に組み込みやすいのが強みです。多種多様な回路を画素内に形成できます。このような内蔵回路を工夫することで、外部回路や外付けチップの負荷を減らし、全体の消費電力を下げられます。

 液晶セルについては、モバイル分野で市場要求の強いIPS(in-plane switching)液晶技術で、日立ディスプレイズが強い技術を持っていました。液晶の弱点である、斜めから見たときの色変化を抑えられる技術です。スマートフォンやタブレット端末の普及によりモバイル機器の使い方が変わったことで、中小型でも重視されるようになりました。端末を回転させたり机の上に平置きしたりすることで、様々な角度からディスプレイを見るようになったからです。タッチ入力による画像表示の乱れが小さいのも、IPS液晶パネルの特徴です。日立グループはIPS液晶パネルを世界に先駆けて事業化し、20年近くの量産実績を持ちます。日立ディスプレイズの豊富な経験に基づく製造技術や材料技術の強みをわれわれは引き継いでおり、プロセスの安定性や歩留まり、そして焼き付きや応答などIPS液晶特有の課題への対策技術については競合他社をリードしていると自負しています。

 周辺システムについては、ソニーモバイルディスプレイが強い技術を持っていました。周辺システムとは、パネルの表示画像をきれいに見せるための信号処理の技術です。私は東芝グループ出身ですが、ソニー・グループは信号処理の技術開発の歴史が長く、優れた周辺システム技術が生まれる土壌があると感じます。最近発表した技術には、タッチ・パネル機能を液晶パネルに内蔵するインセル技術「Pixel Eyes」(Tech-On!関連記事1)や、液晶パネルの消費電力を削減する画素配列技術「WhiteMagic」(Tech-On!関連記事2)のための信号処理技術があります。

 このように、統合前の3社それぞれに強みがあり、しかも重複していません。これらの技術を組み合わせることで、競合他社に対して差異化できます。

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