3つのステージで発展

ハイテク産業園は歴史ある園区ですが、これまでどのような形で発展を遂げてきたのですか。

タイトル

 ハイテク産業園は92年にスタートした歴史ある園区ですが、その都度都度で発展のステージが変わってきました。最初のステージである92年から2003年までは、市内の企業を近隣に移設しながら、市街地を拡大させ、中国の民営企業が主力として発展してきました。

 次の2003年から2010年までは、台湾メーカーが進出して、大規模な電子機器のOEM工場を建設してきました。しかしこのOEM工場は単純な組立作業で、地元の人材育成には貢献しませんでした。しかも大量の土地を必要としており、土地に対する税収は満足のいくものではありませんでした。そして、こうした台湾企業は優遇政策が終わるころには、また別の労働力が安い地域へ移転してしまうため、常熟の発展計画にはそぐわないと分かってきました。

  そこで2011年からの第12次五カ年計画においては、こうした電子機器のOEM産業ではなく、地元企業を伸ばしながら、常熟市を発展させるという方針のもとに、ハイテク産業園では上記の3つの産業を重点産業として取り組んでいくことを決定したのです。

固い地盤で工場建設のコストを削減

ハイテク産業園の優位性を教えてください。

 ハイテク産業園は長江デルタ区域の中心に位置しており、上海までは85キロ、昆山や蘇州まで30キロ、無錫まで40キロの距離にあります。上海虹橋空港までは車で1時間、無錫蘇南国際空港までは30分でアクセスできます。また常熟港までも18キロと至近距離にあります。現在、地下鉄の建設を進めており、2015年に完成予定です。地下鉄が完成すれば、上海虹橋空港まで35分、無錫まで30分で結ばれることになります。

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 こうした地理的優位性のほかに、特質すべきは「地盤の固さ」です。ハイテク産業園は虞山山脈の麓にあって、極めて地盤がしっかりしているのです。平均18~24トン/平米の圧力に耐えられるため、3階以上の工場を建設する際にも地下の地盤工事をする必要がなく、安定剤を入れて土地を凝固させる必要もありません。工期を大幅に短縮することができ、1ムー当たり5万~8万元の建設コストを削減することが可能です。もちろん地盤が固いので、ハードディスクなどの精密機器の加工にも適しています。

 このほか常熟は人材も豊富です。常熟で就職する学生は毎年4000人を超えます。また地元の専門学校なども毎年8000人の卒業生を排出しています。ハイテク産業園は市の中心部から近い距離にあるため、こうした常熟の豊富な人材を活用できます。市内には日本人向けの飲食設備も増えてきています。今後は優れた技術を持つ日本企業が積極的に進出してくることを期待しています。