欧米企業は工場だけでなくR&D部門も積極進出

どのような誘致戦略を立てていますか。また日本企業に対する要望はありますか。

湯継強氏

 成都には欧米の企業が数多く進出していますが、日本企業はまだ少ないですね。アルバック、住友電工、ソニー、日立製作所など、まだ数えるほどしかありません。しかも生産工場が主体で、R&Dセンターなどの研究開発部門はまだほとんどありません。ここは高新区なので、やはりハイテク産業の生産工場だけではなく、R&Dセンターなどの進出を希望します。

 米国は多くのハイテク産業がCDHTに進出していますが、生産工場だけでなく、研究開発部門も従えています。デルもIC回路の設計をここで行っています。インテルもCDHTから多くの特許を申請しています。モトローラやIBM(現レノボ)が最初に進出したのは工場ではなく、R&D部門でした。

タイトル

 成都は著作権保護に積極的に取り組んでいる都市で、欧米企業の多くはそれを理解して研究開発分野に投資しています。しかし、日本企業はそういう姿勢がないのが残念です。これから進出を考えている日本企業には是非、R&Dセンターと生産工場をセットで考えていただきたいです。

 ハイテク分野はFPDなどの製造分野だけでなく、ソフトウエアアウトソーシングといった産業の進出も期待しています。日本ではアニメなどの産業も強いので、是非とも進出してほしいですね。

進出企業に優しい「3つの美」が際立つ街

成都市はハイテク産業の発信地として、また歴史文化の発信地として国内外からも注目されています。企業が進出するにあたって、成都の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

湯継強氏

 成都は中央政府が推し進める西部大開発の中核都市として大きな役割を担っています。このため、沿岸部に比べて様々な優遇策があります。企業の所得税は沿岸部に比べて10%減免されます。これは成都に限らず、西部地域の12都市で実施されているもので、いかに西部大開発が政策的に重要であるかがわかると思います。成都市としての優遇策のほか、開発区でも様々な優遇策を用意しています。

  欧州企業とはマッチング交流会を開いています。毎年200社くらいの欧州企業が成都に来て、50社の中国地元企業とマッチング会を実施しています。これからは日本企業ともマッチング会ができればいいと思います。

 成都市は教育に力をいれており、人材が豊富です。高校、大学、専門学校を合わせると100を超えます。海外へ留学する学生も多いですが、必ず成都に戻ってきて職につきます。その理由はやはり成都という街の魅力があるからでしょう。

タイトル

 成都は3000年前から文明が栄えていて、科学技術だけでなく、芸術や歴史も発達しています。三国志の時代の遺跡も多く、歴史を身近に感じることができます。四川料理やパンダの故郷としても知られています。空気も水も美味しい。そして成都は美人が多いことでも有名です。進出した企業の駐在員は、赴任期間が終わっても帰りたくないという人が多いそうです(笑)。観光の美、美食の美、美人の美という3つの美が成都の特徴です。日本企業も是非、成都に進出していただければと思います。