安徽省の省都・合肥市にある合肥国家高新技術産業開発区は1991年に設立された歴史ある開発区で、国務院から自主核心の総合開発区として評価を受けた開発区の1つでもある。主力の家電産業のほか、自動車、電子情報、新エネルギー、公共安全設備、バイオ医薬などの産業に注力しており、特に日本企業には電子情報と新エネルギーの分野で誘致を図りたいという。合肥国家高新技術産業開発区委員会主任の李兵氏に第12次五カ年計画の発展計画と日本企業誘致の方針について聞いた。(聞き手は、中田靖=アジアビジネス本部)

総合開発区として様々な優遇策を用意

合肥国家高新技術産業開発区の特徴を教えてください。

李兵氏
李兵氏
合肥国家高新技術産業開発区委員会主任

 合肥国家高新技術産業開発区は1991年に設立された比較的歴史の古い国家級の開発区です。中国には開発区は大きく分けて2つのタイプがあります。1つは経済技術開発区で、もう1つは高新技術(ハイテク技術)開発区です。高新技術開発区は最先端技術の発展に力を入れているため、海外企業の誘致に積極的です。経済技術開発区よりも規模が大きく、優遇策も多いのが特徴です。土地の価格で優遇が受けられるほか、大規模な投資には固定資産の奨励が受けられます。投資総額が10億元を超えた場合は、開発区独自の奨励も用意しています。ハイテク企業認定が受けられれば所得税も25%から15%へ減免されます。

 さらに合肥高新技術産業開発区は国務院から自主核心の総合開発区として、上海長江、北京中関村、武漢東湖と並んで、評価を受けた開発区の1つでもあります。このため高級人材の所得税減免など、一般の高新技術開発区よりもさらに大きな優遇策が受けられるのが魅了です。

開発区のある合肥は内陸部の都市ですが、大都市へのアクセス環境はどうなっていますか。

 合肥国家高新技術産業開発区は内陸部の安徽省省都にある開発区ですが、数ある高新技術産業開発区の中でも鉄道や道路の路線が整備されており、上海をはじめとする大都市へのアクセスが容易な点も特徴です。合肥には7つの鉄道路線が通っており、上海、杭州、北京、西安へもアクセスが容易です。高速鉄道を利用すれば上海まで2時間半、南京まで1時間半、武漢まで1時間50分でで移動できます。

 建設中のものも含め、7つの高速道路が通っており、今年6月に完成する新しい空港にもアクセスが簡単になります。空港への高速道路は開発区に出入り口があるため、新しい空港へは新しい高速道路を使えば10分で到達できます。中国五大淡水湖の1つである巣湖には港が建設されており、ここから長江につながる貨物の海上輸送も可能です。