東陽市は浙江省のほぼ中心に位置する金華ハムで知られる金華市に属する県級都市だ。中国では工芸品や建築、映画産業の故郷として発展してきた。東陽の新たな発展を担う東陽経済開発区は、こうした産業に加え、自動車やオートバイ部品、第12次五カ年計画に沿った新エネルギーなどの分野に注力し、新たな発展を模索している。日本企業の進出は少ない東陽だが、今後どのような誘致戦略を考えているのか、中国共産党東陽市委常委で、浙江省東陽経済開発区党工委書記の郭慧強氏に聞いた。(聞き手は中田靖=アジアビジネス本部)

工芸、建築、映画で発展

浙江省の地理的中心にある東陽はどんな街ですか。

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郭慧強氏
中国共産党東陽市委常委 浙江省東陽経済開発区党工委書記 管委会主任

 東陽は浙江省の地理的中心にあり、杭州へは約170キロ、温州へは約260キロ、上海へは約270キロの距離です。東陽は工業と芸術の故郷、木彫りの街として知られていて、有名なプロの作家20人のうち、6人が東陽出身です。木彫りの家具などの製品の売り上げは2010年は67億元、11年は100億元に上ります。

 東陽はまた建築の故郷でもあります。建築に関係する人口は10万人に上ります。市全体では、建築の商業円が一番多く、台湾や海外とも取引しています。2010は1000億元、11年は2000億元に上ります。

  また東陽は映画の故郷としても知られています。横店影視城は、東方(アジア)のハリウッドとも言われています。年間1万5000本の映画がここで政策され、10年には700万元の規模となっています。東陽で登録している映画会社の数は300社の上ります。

長江デルタで高い投資潜在力を持つ

東陽経済開発区の特徴を教えてください。

 東陽経済開発区は1992年9月に建設を開始した浙江省の省級開発区です。開発区は東陽市の北部に位置し、杭州と温州を結ぶ高速道路と、金華と寧波を結ぶ高速道路が交差する中心に位置します。浙江省商務庁発表によると、経済規模や発展速度から算出した指数は、08年の全省で44位から10年には30位まで躍進しました。また2010年6月には「中国長江デルタ投資潜在力開発区」に選出されました。

 東陽経済開発区は城北工業新区、江北高新産業園区、白雲商業貿易園区という3つの園区から構成されています。管理地域は202平方キロで、人口は35万人余りいます。

 それぞれの園区には特徴があります。産業振興の主戦場となるのが城北工業新区で、メカトロ、自動車とオートバイ部品、工芸品製造、新エネルギーといった4つの産業を主軸に、企業誘致を積極的に推進しています。この園区に自動車・オートバイ部品産業基地、東陽国際木彫産業基地、建設業本社基地、国際物流パークを建設する計画です。

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 江北高新産業園区には本社機能や研究開発施設を誘致し、都市インフラと関連施設の建設を進め、住環境を整備して、業務しやすく、ビジネスがしやすく、住みやすいニュータウン「東陽市都市新城区」を建設します。

 一方、白雲商業貿易園区は、風光明媚な観光資源を活かした都市レジャー区として開発を進めます。横店影視城という有名な映画村はここにあります。こうした点も観光客にアピールしていきます。