蘇州創業園、蘇州科技城で外資を積極導入した開発を推進

周副市長は一方で蘇州高新区(SND=Suzhou New District of china)を統括する書記としての立場もあります。蘇州高新区についてはどのような発展を考えていますか。

タイトル

 蘇州高新区は国に認定された国家級の開発区で、今年2012年をもって20周年を迎えます。蘇州の旧市街の西側に位置するこの開発区は20年前は何もない場所でした。今では日本の商業施設が数多く立ち並ぶ「獅山商業貿易区」を中心に賑わいを見せていて、このCBD(Central Business District)は蘇州市の副都心とも位置づけられています。

 蘇州高新区には既に1000社の外資系企業が進出しており、その半分の約500社が日系企業です。ここは日系企業のメッカとも呼ばれているほどです。フォーチュン誌が毎年発表するフォーチュン500社の中に、蘇州市に進出している企業は140社あまりを数えますが、うち蘇州高新区には30社あまりが進出しており、その多くが日系企業です。

 産業別でいえば電子情報産業、精密機械・装置産業、バイオ医療産業、新エネルギー産業、現代サービス業の5つが主力産業です。中でも発展が著しいのが電子情報産業で、蘇州の中ではこの蘇州高新区をはじめ、蘇州工業園区、昆山の3箇所を合わせて1億元(約12億1500万円)規模の工業生産額に達しています。

 企業育成のプラットフォームとして大きな役割を果たしているのが蘇州創業園(蘇州イノベーションパーク)で、こうした創業園は国家レベルで全国で4箇所、省レベルで全国で9箇所あります。このプラットフォームの面積は50万平方キロあり、企業の数は1000社を超えます。

 さらに中国の科学技術部、江蘇省、蘇州市の3者共同出資による蘇州科技城(蘇州サイエンスシティ)が高新区内に建設され、最先端のナノテクノロジー、ソフトウエア開発、バイオテクノロジーの研究が行われています。またここでは、他の開発区に先駆けて知的所有権管理専門部門が設けられ、企業・研究機関の知的所有権を管理・サポートする体制を整えています。

現代サービス業とナノテク産業を積極誘致

今後、蘇州市及び蘇州高新区が日本企業に期待することは何ですか。

 蘇州と日本は古くは鑑真和尚が蘇州近くの張家港から日本へ渡航したときからの長い歴史的な関係があります。日本人がよく訪れる寒山寺を舞台にした張継の七言絶句「楓橋夜泊」は日本でもよく読まれている『唐詩選』や『三体詩』といった詩集にも収められています。

 日本から蘇州へは毎年25万人の旅行者が訪れています。蘇州高新区に常駐しいている日本人も5000人以上いて、日本人学校には200人の生徒が通っています。蘇州の学校で使う教科書は中国の教育部が特別に認定して、日本と同じ教科書が使えるようになっています。日本人向けの飲食街も賑わっていて、和食のほか、日本と同じラーメンも食べることができます。蘇州高新区内にできた日本の百貨店は市民にも人気で、今後もこうした商業施設の進出を歓迎します。新しくできた野村不動産のモデルルームを見学しましたが、非常に立派なもので、こうした建設不動産もどんどん蘇州に進出していただければと思います。

 もちろんこうした現代サービス業以外でも、最先端のナノテクノロジーをはじめ、日本が得意とする科学技術を積極的に誘致したいと思います。電子情報産業のR&D部門の進出は特に期待したいです。日本企業もこれまでの人件費のコストメリットから中国に進出するのではなく、優秀な人材のメリットから中国に進出するというように、発想を転換してみてはいかがでしょう。今後は企業同士だけではなく、政・官・民が一体となった協力関係を進めていければと思います。