R&D分野では様々な優遇策を用意

 企業進出の際に、R&D分野への投資を希望するということですが、そうした分野への進出状況と優遇策などがあればお聞かせください。

 既にパナソニックが家電製品の研究センターをHEDAに設立しています。また東芝も200人規模の研究開発チームを作りました。一方、中国の民営企業である「浙江三花股份有限公司」は自動車などの冷却デバイス分野で世界的に有名な企業ですが、その研究開発部門には4人の日本人がいます。今後はこうした研究開発の交流も進めていければと思います。

 そしてR&D分野では様々な形で優遇策を用意しています。まず国家レベルでも所得税などでの優遇がありますが、それ以外にも開発区として奨励金を用意しています。国家レベルのR&D申請が行われた開発案件には、HEDAでは50万元(約608万円)の奨励金を出します。省レベルのR&D申請には20万元(約243万円)の奨励金を用意しています。特許に関して、米国や欧州で特許を取得できた案件に関しては、1件につき8万元(約97万円)の奨励金を出します。

 HEDAに進出した企業の研究開発能力を上げるために、2010年からは研究開発の費用を一部免除する政策なども実施しています。このように様々な方法でR&D分野への進出を支援していく考えです。

中小企業を育てる「ハイテク孵化器」

 日本から中小企業が進出する場合のサポート体制はどうなっていますか。

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 HEDAには多くの日本の中小企業が進出していて、HEDAではこうした企業を歓迎します。日本の中小企業は独自のコア技術を持っている会社が多く、競争力があるといえるからです。

 ただそうはいっても日本からはるばる中国へ進出するとなると、中小企業にとっては資金面などで不安があるでしょう。そこで我々は「ハイテク孵化器」という名前の専門的な園区を設立しました。まさに名前のとおり、中小企業が一人立ちできるように、市政府やHEDAが全面的な支援を行います。例えば最初の3年間は家賃を安くしたり、プロジェクトの内容を把握した上で、様々な奨励金も用意したりします。

 HEDAでは今後も様々な専門園区を準備するなどして、産業誘致を積極的に進めていく考えです。今年10月には杭州市初となる地下鉄1号線が開通する予定ですが、その駅は、HEDAのこのビルの地下3階にもできます。地下鉄は高速鉄道駅とも結ばれるので、HEDAの地理的優位性は高まり、さらなる発展が期待できるでしょう。

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