村田製作所の家木氏(写真:宮田昌彦)
村田製作所の家木氏(写真:宮田昌彦)
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*本記事は,2011年3月25日発行の別冊「デジタルヘルス2011」に掲載した内容の一部を抜粋したものです。全文は,そちらでお読みいただけます。記事は,執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります。

2010年10月に開催された,電子技術分野で国内最大の展示会「CEATEC JAPAN 2010」。ここで,ヘルスケアへの取り組みを大々的にアピールしていたのが,村田製作所である。同社の無線通信やセンサの技術を生かし,「指輪型パルスメータ」「美容・健康向けUV(紫外線)センサ」「バイタルサインセンサ」といった応用を披露した。ヘルスケア分野に対する同社の考えについて,取締役の家木氏に話を聞いた。(聞き手は小谷 卓也)



――村田製作所が今,ヘルスケア分野に積極的に取り組み始めているのは,どのような理由からでしょうか?

 これまで我々は,移動体通信関連やAV(audio visual)関連といった,一般的なエレクトロニクス市場を対象にビジネスを進めてきました。しかし,これからは領域を広げていきたいという思いがあります。その中でヘルスケア分野は,今後の成長が期待できる市場と考え,取り組んでいます。

 そして,ヘルスケアの分野はエレクトロニクス技術との親和性が高いとみています。つまり,技術をいろいろな形で応用できるのではないでしょうか。

 さらに,これまでエレクトロニクスは,エンターテインメントや快適性などの分野については貢献してきました。しかし今後は,人々が生きていくことを支える部分に活用することが,ますます重要になってきます。

 (エレクトロニクス・メーカー)各社の最近の研究開発の方向性を見る限り,どの企業も同じことを考えているのだと思います。

――領域を広げていきたいというのは,既存分野に対する危機感の裏返しでしょうか。

 従来のエレクトロニクスの分野は,コモディティー化し,成熟しつつあります。こうした中で,成長市場に首を突っ込んでいくことは不可欠です。

――ヘルスケアの分野がエレクトロニクス技術との親和性が高いというのは,どの辺りから感じることでしょうか?。

 一つは,ヘルスケアの分野のデジタル化が進んでいるためです。

 もう一つは,これまでヘルスケアの分野でメイン・プレーヤーだった企業は,必ずしも技術に明るくないことです。例えば,今後はヘルスケアがネットワーク化され,無線通信技術の活用が必須になってきます。しかし,従来のプレーヤーは決して通信技術などを得意としてきたわけではありません。そこに,我々が得意とする無線通信技術を使ってもらえるチャンスがあると考えています。

――無線通信技術の他にも,強みになる技術はありますか?

 例えば,センサ技術もそうでしょう。他には,小型化技術や量産技術といったところも強みになるとみています。

 ヘルスケアの分野では,パーソナルな機器が基本なので,数量であったりコストであったりという部分は,非常に重要な点になります。我々にとっては,大量生産したり,安価にしたり,小型化したりすることは,得意とするところですから。

*以下,インタビューの全文は,別冊「デジタルヘルス2011」に掲載しています。