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【COMPUTEX】「IntelはMeeGoを推しているが,最初のMeeGo搭載製品はARMベースだ」,ARMの社長が語る

英ARM Ltd. PresidentのTudor Brown氏

2010/06/05 17:48
大森 敏行=日経エレクトロニクス
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 COMPUTEXは本来はパソコンを中心とした展示会であり,組み込み機器向けが中心のARMは,従来は関係が薄かった。ところが,ARMが高いシェアを持つ携帯電話機が高機能化し,iPadのようにARMベースのプロセサを搭載したタブレット端末も登場するなど,ARM搭載端末とパソコンの境界がどんどんあいまいになってきている。そこで,COMPUTEXに合わせて台湾を訪れた英ARM Ltd. PresidentのTudor Brown氏に話を聞いた。(聞き手は大森 敏行=日経エレクトロニクス)

――ARMにとってCOMPUTEXはどの程度,重要なのか。

Brown氏 いい質問だ。ARM社がCOMPUTEXに来るのは今年で3年目だ。つまり,(COMPUTEXは30周年なので)27年間は来ていなかったことになる。近年,パソコンとARMとの関連が強まっており,ARM社にとってもCOMPUTEXの重要性が増してきている。

――ARMを搭載したネットブックは今後どのくらい増えていくと考えているか。

Brown氏 実際には少ないと思っている。約1年前にスマートブック(ARMを搭載したネットブック)が盛んに喧伝されたが,普及は進んでいない。ユーザーはWindowsに慣れているし,パソコンでできることはスマートブックでもできてほしいと思っている。スマートブックは小型軽量で駆動時間も長いが,アプリケーションが限られている。電子メールやWebサイトの閲覧だけなら問題ないが,音楽を購入する仕組みなどは欠けている。スマートブックが現在のパソコンを置き換えるとは考えにくい。

 ただ,我々はそのことに落胆しているわけではない。今年は,タブレット端末がブームになっている。もしかしたら,この種の端末では成功するかもしれない。「普及がどのくらい進むか」を語るにはまだ早いと考えている。

――米Google Inc.が用意するネットブック向けOSである「Chrome OS」は,スマートブックにいつごろ搭載されるのか。

Brown氏 Chrome OSは2010年末に登場予定だが,最初のバージョンは米Intel Corp.のプロセサ向けだ。ARM向けはそのすぐ後に出る。昨日,Google社のある社員から「ARM向けも今年末に出る」と聞いた。いずれにせよ,2010年末から2011年初めには登場することになるだろう。

――ARMを搭載した機器では「Android」と「Chrome OS」のどちらが主流になっていくのか。

Brown氏 明らかにAndroidだ。Andoridは既に1年以上前から利用されている。多くのAndroid搭載機器は,プロセサとしてARMを採用している。Androidはもともと携帯電話機向けに開発されたが,多くの企業はAndroidを携帯電話機以外の機器にも搭載しようとしている。AndoridはオープンソースのOSなので,企業が自由に改良を加えられるという強みもある。

 AndroidとChrome OSは,そもそもコンセプトが違うものだ。Androidは汎用の組み込み向けOSとして利用できるのに対し,Chrome OSはクラウド・コンピューティングに特化したOSである。ただARMとしては,どちらにも力を入れていく。

――今回のCOMPUTEXではIntel社がLinixベースの「MeeGo」を推進していくと表明している(Tech-On!の関連記事)。このことは,ARMにとってどのような意味を持つか。

Brown氏 実際には,MeeGoを搭載する最初の製品はフィンランドNokia Corp.が発売するARMベースの携帯電話機だ。Intel社のプロセサを搭載した製品ではない。Intel社が推進しているかどうかは,あまり重要ではないと考えている。MeeGoはARMアーキテクチャもIntelアーキテクチャもサポートしており,どのプロセサを搭載するかは,最終的には機器メーカーが選択することだ。もちろん,ARM社としてはARMを採用してほしいとは思っているが。

――現在,ARMは多くの機器に搭載されているが,今後,新しく採用されるとすればどういった分野か。

Brown氏 難しい質問だ。なぜなら,既にネットブック,テレビといった(従来はあまりARMが使われていなかった)分野にもARMは入ってきているからだ。今後は,市場の成長が期待されている電子書籍端末やタブレット端末といった分野でもARMが使われるだろう。ネットワーク化が進む今後のテレビにも,パソコンとは異なる端末という意味で市場の拡大に期待している。

――テレビ向けのプロセサは,数年前はほとんどがMIPSベースだったが,最近はARMベースのものが増えている。その理由をどう考えているか。

Brown氏 ある意味,ARM社と米MIPS Technologies, Inc.の技術は似通っている。ただ,我々はアーキテクチャの開発に多大な投資を行っており,その結果,強力なロードマップを持っている。その安心感が,多くの顧客がARMに乗り換えている理由だと考えている。ロードマップがしっかりしていることで,強力なエコシステムも構築できている。これにより,多くのソフトウエアがARMをサポートしている。例えば,米Adobe Systems Inc.の「Flash 10」やGoogle社の「Chrome OS」などだ。

――「ロードマップがしっかりしている」というのはIntel社にも当てはまると思うが,ARM社にとってIntel社はどの程度,脅威なのか。例えば「Google TV」はIntel社のプロセサを採用したが。

Brown氏 我々は三つのプロセサ・ファミリーを持っている。まず,ハイエンドの「Cortex-A」。Intel社の「Atom」と競合するもので,スマートフォンなどに搭載される。次が,リアルタイム制御に向けた「Cortex-R」。自動車のエンジンやブレーキの制御,ネットワーク・システムの制御などに使われる。三つ目が,マイクロコントローラの「Cortex-M」。小型で安価,それでいて性能も高い製品群である。

 我々は,これら三つのファミリーのすべてに投資している。Intel社が主にハイエンドにフォーカスして投資を行っているのとは対照的だ。幅広い製品群を持つのが我々の強みだと考えている。

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