「エネルギー・ハーベスティングは今が事業化のタイミング」,コンソーシアムの事務局に聞く
NTTデータ経営研究所 竹内敬治氏
周囲の環境からエネルギーを“収穫”し,電力に変換するエネルギー・ハーベスティング。熱や振動,電波など,これまで利用されることなく捨てられていたエネルギーをかき集め,有効利用する動きが海外を中心にここ数年盛り上がりを見せている。
そんな中,国内でもようやく実用化に向けた取り組みが始まった。「エネルギーハーベスティングコンソーシアム」の発足である( Tech-On! 関連記事1)。国内企業が集結することで,エネルギー・ハーベスティング分野での早期の事業化を目指す。同コンソーシアムの事務局であるNTTデータ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティング本部 シニアスペシャリストの竹内敬治氏に話を聞いた。(聞き手は久米 秀尚=日経エレクトロニクス)
――コンソーシアムを立ち上げた理由は何か。
竹内氏 まず,エネルギー・ハーベスティング分野の研究開発において,日本が欧米に対して大きく水をあけられている現状がある。10年は遅れている。こうした問題意識があって,先行する欧米での取り組みの情報を収集,共有といった準備段階から始める必要があると考えた。海外に目を向けると,着実に事業化が進んでいることがわかる。例えば,ドイツEnOcean GmbHは,ビルの照明や空調の制御などで採用実績を積み重ねている。人がスイッチを押す動きを電力に変換し,その電力により無線で信号を送信する。スイッチの位置まで壁の中に電源線や信号線を引いたり,スイッチに電池を接続したりする必要がない。そのため,一般的なビルだけでなく,大掛かりな改修工事が難しい歴史的建造物などにも適している。
――国内でも開発を進めている研究機関や企業はあるようだが。
竹内氏 確かに,発電技術の研究を進めているところはある。大きな注目を集めた例としては,2008年にオムロンや三洋電機が発表した,クルマのタイヤ空気圧の監視装置(TPMS)に向けた振動発電機がある( Tech-On! 関連記事2)。想定するアプリケーションの分かりやすさもあり,エネルギー・ハーベスティング分野が国内でも活気づくきっかけになった。ただ,発電技術だけでは製品にできない。これに蓄電装置や無線センサなどを組み合わせて,モジュールとして完成させなければならない。こうした実用化となると,事例はグンと少なくなる。国内では,セイコーやシチズン時計が開発した,振動や体熱で発電して駆動する腕時計など数えるくらいだ。
一方の海外では,先ほど紹介したEnOcean社のスイッチ以外にも,事例が着々と増えている。最近では,例えば米Tremont Electric, LLCが2010年5月に発売した「nPower PEG (Personal Energy Generator)」が興味深い(製品紹介サイト)。振動を電力に変換し,ケータイやデジタル・カメラなどの携帯機器の充電に使う。価格は150米ドル程度で,いよいよ民生向けでも製品が登場してきた。
――「10年遅れ」の状況から攻勢に転じることができるのか。
竹内氏 確かに海外は,大企業だけでなくベンチャー企業も精力的で,政府の後押しもある。しかしながら,エネルギー・ハーベスティング分野は日本メーカーの得意な部分を生かせるはずだ。微細なものを正確に作れる技術力を活用する先を見つけられれば,十分追いつくことは可能だろう。そのためには,まずは情報をしっかり得られるようにする必要があったわけだ。幸いにも,今は事業化を推し進めるにはちょうどよいタイミング。発電効率は良くなっているし,マイコンや無線センサなど周辺部品の消費電力は着実に低減している。昇圧技術も向上している。コンソーシアムを通して,事業化に意欲のある企業をサポートしていきたい。











