エネルギー・ハーベスティングで攻勢をかけるLinear社に聞く
米Linear Technology Corp. Tony Armstrong氏
周囲の環境からエネルギーを“収穫”して,電力に変換する「エネルギー・ハーベスティング」分野が実用段階に入り,盛り上がりを見せる。米Linear Technology Corp.も同分野に期待を寄せる企業の一つだ( Tech-On! 関連記事1)。同社 Power Products,Director of Product MarketingのTony Armstrong氏に,エネルギー・ハーベスティング分野に注目する背景と,最近の取り組みについて聞いた。(聞き手は久米秀尚=日経エレクトロニクス)
――まず,エネルギー・ハーベスティングに注目するようになった背景を教えてほしい。
Armstrong氏 周囲を見渡すと,多くのエネルギーが捨てられていることが分かる。産業プロセスや内燃エンジンなど,例を挙げればきりがない。さらに,現在多くの機器に電力伝送やデータ送信のために無数の配線が張り巡らされている。こうした,無駄や不便さを解決する手段としてエネルギー・ハーベスティングが注目を集めるようになった。これまで捨てられてしまっていたエネルギーを,電力に変換できるような技術が進歩したことと相まって,一つの市場として確立されようとしている。エネルギー源としては,熱や振動,光,湿度,電磁波などがある。このうち,当社がまず注目しているのが熱エネルギーだ。熱電変換素子を用いて温度差を電圧に変換する「Thermo-Electrical Generator(TEG)」を利用する方法がある。例えば,ビルの冷暖房空調設備(HVAC:heating ventilating air conditioning)への応用が考えられる。無線センサ・ネットワークを使って空調を監視して自動調整を行えれば,電力の30%を節約できるとの報告がある。ビルでは総エネルギー需要の38%が使われているといわれており,今後も大幅な増加が予測されている重要な分野である。
――具体的には,どのような取り組みをしていくのか。
Armstrong氏 センサ・ネットワークを例にとると,エネルギー・ハーベスティングは四つの領域に分けられる。まず,(1)エネルギー源を検出して,(2)電力に変換・制御する。(3)発電した電力を使ってセンサやコントローラを起動させて,(4)無線機器によって外部に情報を伝達する。(1)〜(4)の機能を兼ね備えたユニットの単価は,5万ユニット購入時に12米ドルほどだろう。当社はこれらのうち,(2)の電力に変換・制御する領域に集中的に製品を投入している。例えば2009年12月に発表した「LTC3108」や,2010年1月に発表した「LTC3588-1」がある。多くの企業がエネルギー・ハーベスティングに注目して開発を進めているが,当社はいち早く製品を発売し,先行するつもりだ。――それぞれの製品の特徴は。
Armstrong氏 「LTC3108」はわずか20mVから昇圧できるDC-DCコンバータだ(発表資料1)。20mVを発電するためには,例えばTEGを使うと約1℃の温度差となる。温度差が小さくても有効に電力を収穫できる。消費電力も6μAと非常に小さく,変換効率が高い特徴がある。「LTC3588-1」は,圧電変換素子を使うエネルギー・ハーベスティングに最適化した電源ICである( Tech-On! 関連記事2)。低損失な全波ブリッジ整流器を内蔵し,無負荷時の消費電力は950nAと小さい。そのため,約90%と高い変換効率を実現できる。このほか,最近では2010年2月に,450nAと低消費電力で動作する充電管理IC「LTC4070」を発売した(発表資料2)。熱や振動といったエネルギー源から間欠的または連続的に,2次電池への充電と保護を行う。今後も,エネルギー・ハーベスティングでの利用を想定する製品を用意しており,順次投入していくつもりだ。











