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日本でも徐々に広がるソフトウエア開発のカイゼン活動「スクラム」

2009/12/28 15:39
安保 秀雄=編集委員
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図1 スクラムマスター研修の様子
研修参加者は30人で,システム開発会社やITツール・ベンダー,ゲーム会社のソフトウエア・エンジニアなどが受講した。Vodde氏とMills氏の日本での研修は4回目。参加者は次第に増えているという。次回は2010年3月の予定。
(画像のクリックで拡大)

 2009年12月2〜3日に東京で「認定スクラムマスター研修」が開かれた(図1,図2)。スクラムは,ソフトウエア開発現場においてチーム力を高める実践的な方法を体系化したもの(解説記事)。研修では,スクラムを円滑に推進しようとするエンジニア(スクラムマスター)のために演習と講義を行った。講師のOdd-e Pte.LtdのAgile CoachであるBas Vodde氏にスクラムの現状,日本のソフトウエア・エンジニアへの助言を聞いた。(聞き手は安保秀雄=編集委員)

問 スクラムはどんな企業が利用しているのでしょうか。

Vodde氏 大手では,フィンランドNokia社やスウェーデンEricsson社,ドイツSiemens社,米Google社,米IBM社,米Micrsoft社などが利用しています。組織が大きい大企業では全面採用というわけではありませんが,たいていの欧米の企業にはスクラムを利用しているチームがあります。欧州のある大手通信機器メーカーでは,ソフトウエア開発者の6割がスクラムを経験しています。スクラムを利用していない欧米の大企業を私は知りません。

 これに対し,アジアなど欧米以外の地域の企業では,スクラムを利用しているところは限られます。ただし,インドや中国の企業は最近増えてきました。欧米の企業がソフトウエアの開発をインドや中国の企業に外注しているので,次第にスクラムを利用するようになっています。

 日本と韓国は,インドや中国に比べると普及していません。この理由の一つは,言語の壁だと思います。スクラムに関する研修や書籍はもっぱら英語であり,英語が使えないと習得する機会は減ってしまいます。ただ最近は,日本でもスクラムマスターを目指す人が増えてはいます。

問 企業がスクラムに取り組む目的は何でしょうか。

図2 講師のBas Vodde氏(右)とEmerson Mills氏
Vodde氏はNokia社などで, Mills氏は日米のAmazon社などでソフトウエア開発に従事してきた。 Mills氏は日本での生活が長く,2日間の研修で計16時間ほど英日同時通訳をぶっ通しで務めた。このほか,江端一将(エバッキー)氏が参加者を支援した。
(画像のクリックで拡大)

Vodde氏 製品開発の競争力向上です。多くの市場で変化が激しくなっています。スクラムでは,一つひとつの仕事を2〜4週間単位に分割し,仕上げていきます。このようにすれば,市場と顧客の変化に対応しやすくなります。

問 組み込み開発にスクラムは使われているのでしょうか。

Vodde氏 よく使われています。例えば,欧州の通信機器メーカーなどが利用しています。企業情報システムでも組み込みシステムでも,スクラムで実践することは変わりません。

問 日本のソフトウエア・エンジニアにアドバイスをしていただけますか。

Vodde氏 スクラムを本格的に利用するときは,上司がプロジェクトを管理する従来の体制が変わり,チーム主導でプロジェクトを自立的に進めます。つまり,従来の管理のやり方は捨てなければなりません。将来的には,人事管理やエンジニア/組織の目標設定の改革が必要です。

 日本のエンジニアからは,「会社が変わらない(あるいはチームのメンバーが変わらない)のでスクラムを利用できない」という悩みをよく聞きます。確かにそうなのですが,そういうときは自分に何ができるのかを考えてみます。障害になっている問題を把握して検討するといった,できることから始めてみましょう。

 集中すべきことは二つです。短いサイクルでプロジェクトを進めること,最後にプロジェクトをふり返って改善を進めること,です。最後のふり返りによって,やるべきことが自然に見えてきます。改善は日本が得意な活動のはずです。

問 大規模開発に利用できるのでしょうか。

Vodde氏 できます。まず熟練者のメンバーでチームを構成します。例えば,そこで何回かサイクル(スプリント)を回し,土台を作り,いくつかの新しいチームを作っていきます。複数のチームをまとめるスクラム・オブ・スクラムスも,チームの同期をとるために大切です(関連記事「ソフト開発の現場カイゼンとチーム力向上は可能か,「スクラム」にみる現場の課題」参照)。

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