問 今後,センサ・ネットワークをより普及させていくために必要な課題は何でしょうか。

宮本氏 普及には2段階あると考えており,それぞれに異なった課題があります。

 まず,現在進行中の有線のシステムの無線化においては,低コスト化と信頼性の確保だと思います。アプリケーションによってはコスト・信頼性ともに現状で問題ないものもありますが,より多くのアプリケーションで利用されるようになるには,これからも改善していくことが必要です。

 コストは,センサ・ノードの大量生産が進むことによって価格が下がってくるので,無線化するアプリケーションが増えると思います。

 信頼性については,無線だと有線に比べて信頼性が低いのではないかと懸念する人もいます。しかし有線も信頼性の問題がないわけではなく,フェイルセーフになるような対策と組み合わせて使うことが一般的です。無線でも同様に,フェイルセーフと組み合わせれば十分な信頼性を得ることが可能です。利用環境によっては有線ではケーブルの腐食や損傷が問題になりますが,無線の方が高い信頼性が得られることもあります。アプリケーションが必要とする信頼性を明確にし,必要なフェイルセーフの仕組みを入れることで信頼性の課題は解決していけると思います。

 次の段階として,センサ・ネットワークによって初めて可能となる新しいアプリケーションをつくり出していくことを目指しています。このためには,ノードの超小型化やバッテリレスに近い低消費電力化など「SMART DUST」での究極の目標の実現に近づいていくための技術開発が必要です。また,それらの技術開発に人やカネが集まってくるきっかけとなる可能性を持つアプリケーションを見つけ出さなければいけません。

 こういったアプリケーションは,その分野に関する深い知識が必要となるため,センサ・ネットワークのベンダからのアプローチだけではうまくいきません。センサ・ネットワークの可能性についての認知が進んでいけば,センサ・ネットワークのベンダと特定のアプリケーションに関する深い知識をもつベンダとがうまく結びついて,新しいアプリケーションを生み出せるのではないかと期待しています。

システム構成要素と開発のポイント