日経ものづくり 詳報

川田工業などの3法人が試作
雨中でも動作する人間形ロボット

滑りやすい路面での歩行や脚腕協調制御を可能に

 川田工業,産業技術総合研究所(産総研),川崎重工業は共同で,人間形ロボット「HRP-3P」を試作した。実際の労働現場や生活環境などの実環境で活用できることを目指し,稼働可能環境を拡大したもので,2002年12月に発表した同「HRP-2Promet」の発展版という位置付けだ。
 防じん防滴構造を備え,100mm/hの雨の中でも動作可能な上,滑りやすい氷上に相当する摩擦係数0.1の路面でも最大1.5km/hの速度で歩行できる(図)。さらに,低い台の上にあるバルブやレバーなど,台に片手を突き,前かがみにならないと操作できないような作業もこなせる,脚腕協調制御の機能も持たせている。
 しかも,そうした作業を簡単に遠隔操作できるようにしている点も特徴。手を伸ばしてバルブやレバーを操作するといった作業本来の目的に直結した動作は遠隔操作で行う。一方,バルブやレバーを確認したり,それらを操作する手を見たり,倒れないようにもう一方の腕や脚や腰を使いながら身体のバランスを取ったりするといった動作は,自律制御で意識せずに実行できるようになっている。

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図●100mm/hの雨の中でも動作可能な人間形ロボット「HRP-3P」
川田工業,産業技術総合研究所,川崎重工業が共同で試作した。2002年12月に発表した人間形ロボット「HRP-2Promet」を発展させたもので,放熱と防じん防滴を両立させた点が一つの特徴。