日経オートモーティブ 解説

本記事は、自動車メーカーと部品メーカーがカーエレクトロニクスの開発にどう取り組むべきかについてMcKinsey & Company社がまとめたレポート 「Automotive Electronics Managing Innovations on the Road」(原文A4判71ページ)を、日本でのまとめ役であるマッキンゼー・アンド・カンパニー アソシエート・プリンシパルの木谷哲夫氏の協力を得て本誌がまとめたものです。
詳細についてはマッキンゼー・アンド・カンパニー(03-5562-2100)にお問い合わせください。 また原文はMcKinsey & Companyの自動車WEBサイト(http://autoassembly.mckinsey.com)でご覧になれます(要登録)。
著:McKinsey & Company Andreas E. Zielke Andreas Biagosch Stefan M. Knupfer Philipp Radtke Ulrich Naher

 1980年代に、クルマの総コストの1%以下を占めるにすぎなかったエレクトロニクスは、現在では約20%を占めるようになり、2015年には40%を占めると予測されている(図)。2015年までに、カーエレクトロニクス市場は世界全体で2000億ドル(約22兆円、1米ドル=110円換算)に達すると見積もられている。
 このようにエレクトロニクス化が進むのは、二つの理由から説明できる。一つは、多くの新機能を実現する手段としてエレクトロニクスが有効なこと、そしてもう一つが、従来からある機能でも、特定ユーザー向けにカスタマイズできるようになることである。

技術革新に対する認識は低い
 しかし問題は、エレクトロニクスによって実現できる機能のすべてを、ユーザーが認識しているわけではないことだ。米McKinsey & Company社の調査によると、AというブランドがBというブランドに対して、2倍の数の技術革新を達成している場合でも、ユーザーは技術革新という面で、ブランドAはブランドBよりも、指数にして20%程度しか上に位置していないと認識するという。
 それ以上に、ブランドCは、ブランドDと技術革新の数という点でブランドDとそれほど変わらなかったにもかかわらず、ユーザーのイメージでは大きく差をつけていた。つまり、技術革新をマネジメントすることやマーケティングの重要性が、この調査から明らかになった。
 また、自動車業界では最近、リコール件数が大幅に増加している。ドイツでは、1998~2003年にリコール件数が年率8%で増加した。電気・電子関連のリコール件数の増加は年率17%で全体の増加率を上回り、2003年には90万台近くに上っている。

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図●車両総コストに占める エレクトロニクスの比率