雑誌 Cover Story

レクサスの挑戦

田野倉 力
2005/09/25 19:48
 
日経オートモーティブ 特集

【Part1:なぜ今レクサスか】

ブランド再構築で
欧州メーカーに真っ向勝負

【Part2:レクサスで採用した新技術 】

ブランド価値の向上目指し
先進機能を満載


【PART1】なぜ今レクサスか
高級車ブランド再構築で
欧州自動車メーカーと真っ向勝負

トヨタ自動車が「レクサス」で輸入高級車市場に勝負を挑む。 狙いは「レクサスブランドのグローバル化」そして「国内市場の2極化への対応」だ。 そのために新たな販売店網を整備、専門の開発組織も立ち上げた。 レクサスのために開発された新技術が、トヨタブランドのクルマへと波及すれば、 トヨタの競争力は一段と強化されることになる。

 レクサス国内導入初日の2005年8月30日。都内のあるレクサス店を訪れた。入り口をくぐると「いらっしゃいませ」と丁寧な挨拶。しかし、こちらから説明を求めなければ、それ以上販売担当者が近づいてくることもなく、自由に店内を見て回れる。店内は白い大理石が敷きつめられて高級感が感じられるが(図)、輸入高級車の販売店のように、着ている服を値踏みされているような圧迫感はない。
 発表されたばかりの展示車両には、子育てを終えたと思しき年代の夫婦の姿が目立っていたが、オープン初日とあって、中にはサンダル履きの客も。それでも販売担当者の対応は、あくまでもにこやかだ。

的確な説明
 ここで少し意地悪な気持ちで、販売担当者にTPMS(タイヤ空気圧監視システム)という、少し専門的な安全技術について尋ねてみた。すると、待機していたテクニカルスタッフが登場、どんな質問に対しても、的確な回答が返ってきた。
 会話が一段落したところで「ラウンジに寄っていってください」と勧められる。ソファーに座ってコーヒーを飲んでいると、クルマを買う場所というよりも、ホテルのロビーに座っている感覚だ。店内は禁煙だが、喫煙ルームも用意されている。朝の光や夕方の光を再現し、展示車両を照らせるようにした照明や、自然な感覚で快適に過ごせるようにあえて特別仕様としたエアコン。店内に表立った豪華さはないが、顧客をもてなすシカケが随所に用意されている。
 これまで輸入高級車の販売店は、伝統と格式を前面に出し、顧客に優越感を感じさせるような演出で、ブランドに対する忠誠心を培養してきた。しかしレクサスは、こうしたアプローチとはかなり距離を置いている印象だ。敷居は驚くほど低く、親しみやすさを重視する。レクサスは、単に欧州の輸入高級車から顧客を奪い取ろうとしているのではない。これまでにない新しいコンセプトを高級車市場に持ち込もうとしている。今回の訪問は、そのことをはっきりと実感させるものだった。

日経オートモーティブ 特集
図●国内導入した「レクサス」店舗


【PART2】レクサスで採用した新技術
ブランド価値の向上目指し
先進機能を満載

レクサスには隠された新技術が多数ある。二つの方式の燃料噴射システムを備えるエンジン、電動式のスタビライザ、アルミ合金を使ったメータ、2個の袋で包み込むエアバッグなどだ。同社が「新しい技術はレクサスから」と言う通り、最先端の技術が満載されている。

エンジン

ポート噴射と筒内直噴を両方使う「D-4S」を採用


対応 車種

GS350
I S350



 「国内のレクサス立ち上げに伴い、目玉となるエンジンが欲しいという声を受けて開発した」(トヨタ自動車エンジンプロジェクト推進部グループ長の土屋富久氏)。
 それがGS350とIS350に搭載した「2GR-FSE」である(図)。排気量3.5LのV型6気筒で、最高出力は234kW(318PS)、最大トルクは380N・m(いずれもIS350の場合)。最高出力は300PSを大幅に上回る性能を備えた。

ストイキD-4の進化版
 新エンジンは、2003年12月に発売した「クラウン」で採用したエンジン「4GR-FSE」(排気量2.5L)と「3GR-FSE」(同3.0L)の燃料噴射システム「ストイキD-4」を進化させたもの。
 新エンジンは、2種類のインジェクタを併用する燃料噴射システム「D-4S」を備えたのが特徴だ。筒内直接噴射(直噴)とポート噴射を備えるほか、均質な混合気を作りやすいように燃料の噴霧形態として「縦Wスリット」を採用した。
 D-4Sは、Direct injection 4 stroke gasoline engine Superior versionの略で、これまでのD-4の進化版(Superior version)となる。燃費は従来と同等に抑えつつ、出力を向上させることを狙った。 
 これまでの直噴エンジンでは、均一な混合気をつくるために、スワール(水平方向の渦)やタンブル流(縦方向の渦)を起こすための気流制御弁を使っていた。しかし、この弁の軸が吸入ポートに入る前の空気流にあたって抵抗となり、出力を高める上で邪魔な存在になっていた。

日経オートモーティブ 特集
図●D-4Sを採用したエンジン
ポート噴射と直噴の両方を備えた燃料噴射システム「D-4S」を採用。排気量は3.5Lで、GS350とIS350が搭載した。

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