双方向クラッチ 【トックベアリング】 |
一定以上のトルクでロック方向を逆転 |
トックベアリング(本社東京)が開発した「解除機能付き双方向クラッチ」は,シャフトが時計回り/反時計回りのどちらにも回転し,いったんどちらかに回転させるともう一方には回転しなくなるロック機構を持つ(図)。回転力を伝達するのではなく,扉の位置を固定したりするのに使うことを想定している。機械部品などの扉のヒンジに応用すれば,任意の角度で扉を開けた状態を保持し,用が済んだら閉じるといった使い方ができる。
構造は単純。回転軸となる「シャフト」に「カラーシャフト」をはめ込み,その周囲に四角柱の四隅だけを切り出したような保持器と呼ぶ樹脂の構造物を設けた。保持器は,0.5mmのステンレス板「スリーブ」を固定するためのもの。スリーブは中が矩形にくりぬいてあり,保持器を取り囲むように複数枚積層する。
図●双方向クラッチの外観(試作品)
シャフトが時計回り/反時計回りのどちらにも回転し,任意の角度でロックできる。
オフセット型検出器ホルダ 【東京精密】 |
回転軸を斜めにしてアームをオフセット |
ワークを円筒テーブルに載せて回転させるタイプの真円度・円筒形状測定機では,測定スタイラスの先端が左右送りアームの延長線上にあるのが一般的。ところが,このような構造では,フランジ付きワークの外径や,肉厚(内径と外径の差)が大きいワークの内径などを測定する場合に,ワークとアームが干渉しないことを常に確認する必要があった。
そこで東京精密は,支持構造を工夫した「オフセット型検出器ホルダ」を搭載した真円度・円筒形状測定機を開発(図)。半径方向に関しては,ワークとアームの干渉を確認する必要がなくなった。
図●真円度・円筒形状測定機「RONDCOM54DX」
検出器ホルダの支持構造を工夫することで,従来は測定できなかったワーク形状に対応した。
ペンタブレット 【ワコム】 |
誘導電流を利用してペンの位置を検出 |
イラストやアニメなどの制作の現場で多く使われているワコムのペンタブレット。同社のタブレットセンサは,日本で流通するタブレットPCのほとんどに採用されているという。その競争力の源泉は,電子ペンに電源を積まない構造にある(図)。
タブレットセンサ上のペンの位置を非接触で検出するには,センサとペンの間で電気信号をやりとりする必要がある。しかし,ペンに電源(乾電池や充電池)を積む方式では,いずれ電池を交換したり充電したりしなければならないので,使い勝手が悪い。
そこでワコムが採用したのが「電磁誘導方式」と呼ぶ電気信号のやりとり。この方式では,コイルとコンデンサを搭載したペンを使う。タブレットセンサのX/Y方向には複数のコイルを配置する。このコイルは,スイッチによって電流ドライバまたはアンプのどちらかと接続する構造だ。
図●電子ペン
ペン先側にコイル,反対側にコンデンサを内蔵する。