日経ものづくり 詳報

300kNの小型電動サーボユニット
ボールねじのナットとモータを一体化

軸受とナットを同一面上に配置し,縦方向の小型化を実現

 協豊製作所(本社愛知県豊田市)は,定格推力300kNの小型電動サーボユニット「KT300」を開発した(図)。組立工程における圧入やカシメ,プレス,粉体成形,サイジング(ひずみ取り)などでの利用を想定している。既に自動車関連メーカーを中心に15台の納入実績があるという。
 ボールねじのねじ軸をスライドプレートに固定し,ナットをモータで直接回転させる。スライドプレートは四隅の棒でガイドされており,中央部にねじ軸の一端が固定されている。
 特徴的なのは,ボールねじのナットをモータのロータに固定したところ。この構造を採用した理由の一つが,装置を小型化できるというメリットを得られることだ。
 特に,縦方向の寸法を小さくできたのは,モータ駆動部の下側に軸受とサポート部の内側にナットを配置できるから。KT300ではエンコーダ,ブレーキ,モータ駆動部,軸受サポート部まで合わせた高さが684mm(幅,奥行きは375mm)となっている。ねじ軸をモータで回転させる方法だと,ナットと軸受それぞれの高さ分の寸法が必要となる。
 搭載するモータは最大トルク1050Nm,最大回転数600rpmのACサーボモータ。日創電機(本社群馬県・甘楽町)と共同開発した。低回転で高トルクを実現するために極数を30以上と大きくしたほか,トルク変動を小さくするためにロータの磁石をスキュー配置にするといった工夫を加えている。
 また,ナットを直接駆動するため減速機構などによるエネルギロスが少なくなり,モータ出力は25kW相当で済む。加えて,ドライバにキャパシタを搭載しており,回生エネルギを利用して1次電源の消費を低減できる。

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図●電動サーボユニット「KT300」
定格推力300kNを実現しながら,設置面積800×800mmおよび質量約2tと小型・軽量なのが特徴。部品の圧入や粉体成形,プレスなどでの利用を想定する。