通信チャネルが持つS/Nと周波数帯域幅によって決まる,これ以上どうやってもデータ伝送速度を上げられない伝送容量の限界のこと。シャノン容量とも呼ぶ。チャネル容量の計算式で求まる。現在の各種の通信/伝送技術は,このシャノン限界に迫る伝送容量を達成しており,こうした技術の発展は止まるかに思われた。しかし,今,伝送技術に半世紀ぶりの大きな変化が起こり「伝送技術の地平線」が大きく広がり始めている。

 シャノン限界は1948年,32歳だったClaude E. Shannon氏が当時の米Bell Telephone Laboratoryで発表した論文「A Mathematical Theory of Communication」で初めて定式化した。同氏は,同じ論文で定義した「情報エントロピー」と呼ぶ抽象的な量を使って,理論的な展開からこの式を導き出した。ただし,この式は実用という立場からも極めて重要で,発表当時から今に至るまで,通信/伝送技術の開発現場ではシャノン限界に近い性能をいかに実現するかが技術開発の基本的指針となっている。