日経オートモーティブ 連載

モータ設計を効率化するツール活用・第2回

連成解析を用いて 電磁界や熱など考慮

モータの設計では、機械と電気の両方の技術が欠かせない。今回は「電磁界」「熱」「応力」の「場」を考慮した解析「連成解析」について述べる(図)。連成解析ツールを用いることにより、複雑で高機能化したモータの開発にも対応できる。

アンソフト・ジャパン
シニアアプリケーションエンジニア
重松浩一


 「機電一体」という言葉がある。自動車やモータなどの開発で昔から使われている。この言葉は、機械技術と電気電子技術を融合し、機能の向上を図ることを示す。筆者は、今ほど「機電一体」が設計者に求められている時期はかつてなかったと考える。

連成解析の必要性
 モータは小型化や高効率化、高出力化の要求が強まっている。このため、電磁界だけでなく、熱の影響も考慮する必要がある。エアギャップ(ロータとステータの間のすきま)を詰める必要があるのも一つだ。
 また、動作周波数が高くなるにつれて、表皮効果(電流が導体の表層だけしか流れない状態)の影響も無視できなくなっている。最近では製品の作り込みに対する要求も年々厳しくなっており、必要な形状やコストを満足させつつ、高効率と低騒音化を両立させるのは難しくなっている。
 つまり、これらの要求を高い精度で満足させるためには、これまでの、電磁場や熱、などの単体の現象のみに着目した解析では不十分であり、それぞれの物理現象を考慮した「連成解析」が必要不可欠となる。

日経オートモーティブ 連載
図●モータ開発・設計を取り巻く様々な工学分野