日経オートモーティブ 連載

部品メーカーの生き残り戦略・第2回

“経営の見える化”で 部門別の目標を設定

部品メーカーの経営戦略を再構築し、グローバル化に対応するには、経営指標と現場の指標が常に見えるよう、ITを使って“経営の見える化”を実現する必要がある。そのうえで経営環境の激しい変化に柔軟に対応できる体質を作ることが必要だ。

アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティングサービス
自動車産業事業部事業部長/パートナー 甲賀憲二


 完成車メーカーおよび部品メーカーを取り巻く環境は大きく変わっている。社会・規制環境はもちろんのこと、製品環境、顧客環境、社内環境をはじめ、メーカー同士のアライアンスも変化している。特に目立つのは、変化のスピードの早さだ。こうした環境変化の中で部品メーカーには、「グローバル化への対応」「部門横断的なプロジェクトへの対応」「リスクを事前察知して最小化すること」「変化への柔軟な対応」などが求められている。
 これまでも自動車産業は様々な指標を使って、経営環境をチェックし、現場の生産性や品質を上げてきた。しかし、これまでの延長線上では、恒常的に良いものを作る仕組みは実現できても、市場や環境の変化に柔軟に対応していくことは難しい。

“経営の見える化”が重要
 図にこれまでの自動車産業が行ってきた業務についての可視化(見える化)策をまとめてみた。従来は生産、開発、販売といった業務単位で現場の課題を数値化していた。部品メーカーでは、ボトムアップの改善プロセスを繰り返すことで体質を改善したものの、戦略に関してはそれほど求められていなかった。完成車メーカーの仕様に応じて部品を納入することが最大の使命だったからだ。
 しかし、現在は共同開発のパートナーとしての位置付けが求められており、作って納入するだけでは生き残ることはできない。まず、会社自身の戦略を作り上げ、会社全体の目標をブレークダウンした指標を明確化しなくてならない。これにより、グローバルな状況がつかみやすくなり、それぞれの部門でのミッションが明らかになる。これを我々は“経営の見える化”と呼んでいる。

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図●これまでの業務の可視化と今後の方向性
経営の見える化に、変化に対応可能な体制を備えるコンポーネント化が重要になる。