日経オートモーティブ 解説

 世界初となるLEDヘッドランプ搭載車が、2007年にも登場する可能性が出てきた。欧州と日本で相次いで、LEDヘッドランプを認可する動きが活発化しているためだ。
 LEDランプは、現行のHID(High Intensity Discharged)ランプよりも、高輝度で低消費電力化が可能なほか、デザインの多様性などのメリットを備える。ランプメーカーは、ハロゲンランプ、HIDランプに続く主力商品として開発に力を注いでいる。
 まず2007年から2008年にかけて、欧州で統一規格「ECE(Economic Commission For Europe Regulations)」が改正される見込み。これを受けて、ほぼ同時期に、日本でも国土交通省の「道路運送車両法」が改正されて、世界的にLEDヘッドランプが認可されることになりそうだ。
 実は米国ではLEDヘッドランプを利用できるが採用例はない。「米国の自動車メーカーは、欧州や日本ほどLEDヘッドランプを重要視していない。このため日本や欧州で最初に実用化されるだろう」(市光工業第一設計部主務の箕川彰一氏)との見方が強い。

ランプの明るさが足りない
 ヘッドランプとしては既に、ハロゲンランプ(500lm程度)よりも明るいHIDランプ(700~1300lm程度)がある(図)。しかし、ランプメーカーはHIDに満足していない。「ヘッドランプは、ドライバーの夜間の視認性を高めて安全性を向上させるためのもの。明るければ明るいほど良い。LEDランプに力を入れるのは、将来的にはHIDランプ以上の明るさを実現できるため。究極の目標は、昼間と同じ視認性を提供するランプだ」(小糸製作所システム商品企画室主管の佐々木勝氏)。

日経オートモーティブ 解説
図●ヘッドランプの性能向上
明るさの向上と照射範囲の拡大が続く。2007年にも実用化するLEDヘッドランプは、ハロゲン、HIDに続くランプとして期待が高い。
*縦軸の「光源光束」はランプ内の光源の明るさを示す。ランプの明るさ(ランプのレンズを出たところの明るさ)は光源光束よりも低くなる。
出典:小糸製作所