日経オートモーティブ Market Watching

Ford社はJaguarを復活させられるか
コスト削減と新モデルが頼り

日経オートモーティブ Market Watching
Bibiana Boerio氏
Jaguarブランドの新しい
マネージング・ディレクター。
コスト削減に辣腕を振るう。

 米国の調査会社であるGlobal Insight社のレポート「Can Ford Unleash Jaguar's Potential?」は米Ford Motor社がJaguarブランドの再建に苦労している様子を報告している。
 同レポートによれば、Ford社は1989年に26億米ドルを投じて英Jaguar社を買収したものの、収益体質の改善に手を焼いているようだ。
 Jaguarの問題は、Ford社の買収以来販売台数は増加しているのに、利益が上がらない点だ。Jaguar車の販売台数は、1990年代初頭に5万台以下で低迷していたのに対し、最近では年間10万台以上と飛躍的に伸びた。しかし、Ford社は目標販売台数を年間20万台に設定して設備投資をしてきたため、生産能力に需要が追いつかず、赤字体質から抜け出せない。

X-Typeはなくなる?
 Ford社はJaguar車を年間20万台販売するというこれまでの目標が達成不可能であることを認め、より高価格で収益性の高い車種を年間12万5000台前後販売する方向に軌道修正しつつある。Ford社はさらに、このブランドの製品・デザイン開発のために、5億英ポンドを投入することを計画している。
 こうした投資によって、Jaguarブランドが再び輝きを取り戻すのは、少なくとも同ブランドが誕生して85周年となる2007年以降になりそうだ。普及車種の「X-Type」は2008年に全面改良される予定だったが、販売が思わしくないことから、完全に消滅する可能性もある。一方で、Jaguar車の売り上げを押し上げるべく、クロスオーバー車が投入される見通しだ。